原油価格、一時だがついに30ドル割れ

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12日のニューヨーク原油市場は、中国経済の減速で原油の需要が低迷するという見方などから売り注文が相次ぎ、原油の先物価格は、一時、およそ12年1か月ぶりに1バレル=30ドルの大台を割り込みました。


去年3月には1バレル=42ドル台まで下落しましたが、その後は、大手エネルギー会社が原油の開発計画を縮小したことなどでいったんは持ち直し、5月には1バレル=62ドル台まで回復します。

しかし、イランが経済制裁を解除されれば原油の輸出を大幅に増やすと表明したことや、世界2位の石油消費国、中国の景気が減速し需要の伸びが期待できないという見方から、夏以降再び下落傾向が強まります。

そして、年明け、中国・上海市場で株価が大きく値下がりすると世界経済の先行きへの警戒感からリスクを避けようと先物に売り注文が集まり、今月7日にはリーマンショックのあとにつけた1バレル=32ドル台の安値を下回り、およそ12年ぶりの安値水準を更新していました。


中東情勢が緊迫化すれば輸送リスクや生産調整などを受けて価格が上昇するのではないかとされた原油価格。実情はその逆で、WTIでも30ドル前半で推移し、昨夜から今朝にかけては一時的だけれど30ドルを切ったとの話。需給バランスで価格が変動することを考えれば、先の宗教的対立によるイランと他国との衝突とかも、あるいは原油輸出の増加が主要因かな......という陰謀論的なことを考えるのは、創作としては面白そう。

陰謀論はともかく、食料価格が昨今低下しているのも、中国の需要が減ってきたってのが一因ではあるし、原油は上記にある通り中国の需要減退リスク、産油国の生産過剰、さらにアメリカ合衆国の輸入減退......どころかシェールオイルの輸出まで始める次第で、だぶつき気味。お金みたいに場所を取らずにストックできるわけではないので「安い時にまとめ買い」が出来ないのが残念。イメージ的には精々家庭におけるトイレットペーパーみたいなもの。十年分も二十年分もまとめ買いはできないよね?場所が無いし、傷むリスクが生じる(先物で安値購入権を確保するって手もあるんだけどさ)。

日本国内ではとりあえずガソリンや灯油価格が減退方向にある。これは率直に好ましい話。直接ドライバーにとって燃料費が下がるってのもあるけれど、輸送コストが落ちるので、流通などの負担が減る。他方、新エネルギー開発方面では足を引っ張られる可能性はある。まぁ、元々震災以降一部山師のおかげで新エネルギー関連は少なからぬ部分がぐちゃぐちゃになっているんだけど。

問題も無い訳じゃない。ずっと安いままであるはずも無く、今後の備えや新しい技術開発への意欲が減退してしまいかねないし、価格が上昇した時のダメージが大きくなるような施策が取られかねない。また、原油を売る側、例えば中東やロシアのお財布事情が厳しくなるので、挙動が荒くなる。とりあえず株価が安定してくれることを祈りたいところではあるのだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2016年1月13日 07:02に書いた記事です。

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