削りではなく重ねて作る3Dプリンタ、低コスト版が登場

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紙を造形素材とするユニークな3Dプリンターを開発しているMcorは1月6日、CESにて新型デスクトップ3Dプリンター「Mcor ARKe」を発表した。


Mcorはアイルランドを拠点とする3Dプリンターメーカー。造形素材として樹脂ではなく紙を切って積層するという独特な技術を用いている。しかも普通のプリンター用紙を用いるためランニングコストが低く、カラープリンターを併用しているので紙への印刷同様、フルカラー造形物が出力できるという利点がある


低コスト版とはいえ6000ドル近い原価、普通のプリンタ用紙使用とはあるけれどロールペーパーを用いているのである程度汎用性は限定されてしまうけれど、デスクトップレベルでこの形の3Dプリンタが登場するのは面白い。

構造の基本は地学関連でよく見かける、等高線模型と同じ。コピーしたい対象を思いっきり薄切りにした上でデータ化し、その薄切りを一枚一枚プリンターで出力して重ねあわせていくというもの。合理的な話には違いない。一枚ずつ色付けができるので、カラーリングも容易なのは高ポイント。


メーカー提供の動画などを見ても、夢は大きく広がりんぐ。大きな構造物は難しいけれど、小物ならこれで十分対応できそう。質感でやや難儀するところはあるけど、模型界隈には衝撃が走るかも。さらに、3Dスキャンのポータブルレベルの端末があれば、その場でスキャン、データ化、3Dプリントってのも可能だよね。データは加工可能だから、その場で全身を取り込んで、フィギュアを作るサービスなんてのもできそう。まさに先日【AIやVRは手法をコピー・拡散できるのが特徴の一つ】で言及したように、データの転送による、距離感のない感覚でのリアルな物質転送もできる。出先で撮影した小動物の3Dデータ化的なものが可能なら、撮影したものを即時データとして転送し、自宅にいる人が造型として出力......なんてことも。


他方こんな指摘もある。確かに紙の質による厚みがどのように生成プログラムに反映されるのか(それ次第で紙が自由に使えるのか、専用の紙でないと厚みが違ってしまうのかが決まる)、さらに生成中のロスリスクがどれぐらいなのかが気になるところ。大きなものになればなるほど、積み増しの枚数も増えるわけで。トラブルでヘマったら、全部パーだからねえ。

まぁ、実用品が展開をはじめれば、その辺りのレポートも出て来るでしょう。

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このページは、不破雷蔵が2016年1月13日 07:50に書いた記事です。

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