前にも述べましたが、日本語の形容詞(「~い」)はプラスの感情(嬉しい、楽しい)に比べてマイナスの感情(憎い、悔しい、怖い、恥ずかしい)が格段に多い。人はプラスよりマイナスの気分の時のほうがものを言いたがるからでしょう。我々は放っておくと愚痴、中傷、批判ばかり口にするとも言えます。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016, 1月 14
先日からアドビの発表した、ネット周りの行動性向に係わるレポート「The State of Content : Rules of Engagement」の抽出精査をしているのだけど、そこでも日本は他の諸国(西洋諸国)と比べて、ネット上の情報に醒めた感が強い結果が出ている。元々人は生物学的に、ポジティブな話よりネガティブのな話の方が注目しやすいから(生死がかかるからね)、ついネガティブな話を優先順位にあげてしまうのだけど、日本では言葉の引出しの面でも、否定的な引出しの中身の方がぎっちりと詰まっているのかもしれない。まぁ、これも人に寄りけりだし、引出しの中身が少なくても、うまく使いこなせばよいまでの事なんだけどね。
日本語の形容詞で、プラスよりマイナスの感情を表すものが多いのは、「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである」(『アンナ・カレーニナ』)を連想させます。幸福な時は表現の必要を感じず、不幸な時にいろいろ言いたがるのは、どの言語でも同じでしょうか。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016, 1月 14
何かいいことがあったとき、SNSなどで「楽しかった」と具体的に説明するほうが、「つまらなかった」と吐き捨てるよりも難しい。プラスの感情形容詞は語彙が少ないから、説明に技術が必要になる。プラスの内容を書いて、なおかつ読者を引きつけられる人は、かなり手練れの書き手と言えます。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016, 1月 14
プラスの内容で読者を引きつけるのはプロでも難しい。国語教科書は、前向きだが当たり障りのない、眠くなる文章に満ちています。実は、プラスの内容を書くためにはコツがあって、それは笑いを盛り込むこと。ユーモア、ウィット、ギャグのセンスが問われる。国語教科書に不足している要素でもあります。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016, 1月 14
ソーシャルメディアでは情報発信のハードルが下がったため、思ったことの体現披露が容易となるだけに、感情が容易に他人に浸透していくことになる。元々ネガティブな情報が発信されやすければ、それが相乗効果的に膨らんでいき、ネガティブな雰囲気が強くなる。やもするとソーシャルメディア全般で、否定的な意見が多いのも、この仕組み...というか構造によるところが大きいのだろう。「速報」と頭につけられたツイートでも、その中身がポジティブなものよりは、ネガティブな物の方が拡散力は大きい。
それゆえに、ポジティブな表現は大事にしたいし、修練を積み重ねる必要があるのだなあ、という気もする。ネガティブは着火点も低いし素材も山ほどあるし、容易ではあるけれどね。それだけが意思の全てでは無い。
さらにネガティブな話には、その勢いに任せる形で、多分にガセネタが盛り込まれていることがある。それにも注意しなければいけないよねえ。
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