で、どこが根本的に問題なのかというと「結果的に順位が下がったのは円が安くなったから」という点で、「単純に『順位の下落は経済力が落ちた証拠』と評価してはならない」という点なんだ。
— BugbearR (@BugbearR) 2016, 2月 19
このグラフを見れば、10~12年に順位が妙に上がっている事が明白。この時なにが起きていたのかというと異常な円高なわけで。それは「『経済力が高かった』『そこから落ちた』と言えるのか?」ということなんだよね https://t.co/iRc1sR8YLr
— BugbearR (@BugbearR) 2016, 2月 19
以前ある団体のトップがドヤ顔で「日本のGDPはドルベース換算をしたこれだけ伸びた縮んだ」的な話をした記事を掲載したけれど、それに近しい話がまた出てきたようで、色々とアクセス動向で変化が見えてきた。今度は直接ドルベースでの値は極力避け、ドルベースで比較した際の順位を書きたてているようだ。結局やっていることは同じなのに。
なんか権威があるっぽいところが出した、それっぽい数字だから、別に中身を見なくても語られていることは正しいのだろうと少なからぬ人は信じ込んでしまうし、それを見込んで語る側は多分に相手を舐めている。もし仮に、語っている側が実情を理解せずに素で語っているのなら、それはそれで能力的に問題があるのだけど。
一国の経済動向の推移、伸張を語る際に、国の基軸通貨、日本ならば日本円ベースで語らないとの点でおかしいということが、まず分からないといけない。日本の商取引の大半が米ドルで成されていれば別だけれど。そして日本も含めた大部分の国は変動相場制を導入している。まったく同じ価値の100円も、1ドル200円の時には0.5ドルしかないけれど、1ドル50円の時には2ドルもの価値が生じてしまう。同じ100円には違いないのだけど、4倍もの差がつく。どうしたことだろう、的な話となる。
日本の経済成長率をグラフ化してみる......(下)グラフ化とオマケ(2015年)(最新) https://t.co/IZwUWi1M8m 名目と実質GDP推移・円ベース。 pic.twitter.com/QRcSUm1ZUy
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016, 2月 21
日本国内の経済動向を精査する際に、なぜわざわざ他国通貨に変えてみせる必要があるのか。その理由が分かるグラフを。まず、同じ手法で中国人民元にて計算。ヤバいよ、日本のGDPが2/3位に落ちちゃったよ(°ω°) pic.twitter.com/xOj1c8vyAF
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016, 2月 21
しかし南アフリカのランドで換算すればこの通り。2015年にスペシャル成長したよ(°ω°) pic.twitter.com/tVdhOFErd7
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016, 2月 21
で、今回の直接のお話はドルベースで置換したあとの順位立てのみを前面に出して目くらましをしているんだけど(誰だこんな知恵をつけさせたのは)、例えばそれなら同様に防衛費もグンと下がっているよねというツッコミはさておくとしても。
他国通貨に換算した上で、直接だろうが間接だろうが自国の経済動向を推し量ることの無意味さを再確認するための話。結局、固定相場制で無い限り、あくまでも参考指標以上のものにはならず、ドヤ顔して語れるものでなく、さらには該当一か国の動向の精査にはほとんど役に立たない。
昔はあのような形でデータが出されたら、へろっと騙されてしまったのだろうけど、今ではすぐに精査されてしまうからねえ。
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