「GPIF運用悪化で年金給付減額あり得る」報道と、正しくまとめる能力と、情報ロンダリング的な展開と

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昨今の国会質疑は、全文の書き起こしか公式議事録の確認をお勧めします。先の放送法に絡んだ総務相の発言も、全文を読めば先行報道された内容とは異なる印象を受けるはずです。


今記事も質問者である玉木氏と回答者である安倍氏のやり取りが混ざり、片方が独自解釈した内容が、他方の弁であるかのようにも読めます。例えばAが「●×ですね」と質問し、Bがそれに明確な回答をしていないにも関わらず、Aが「●×と言いましたよね、それでは~」とのやり取りとなった場合、「Bが●×と語った」と記事にしてしまう次第です。

また文中では短期間の株価の上下ですぐに給付の増減が起きる印象の表記もされていますが、最後に有る通り長期的なスパンで運用が成されているため、そう単純な話では無い事も合わせて記しておきます。加え、機会があれば現在の運用益が幾らかの確認をお勧めします(市場運用開始以降直近までの累積収益額は45.5兆円です)。


先日の総務相による放送法絡みの質疑応答も良い例ではあるのだけど、最近「報道が『分かりやすいけど正しいとは限らない』事例を相次ぎやらかしている」「つまみ食い素材を提供する議員と、それをつまみ食いして披露する報道」のパターンが増えてきて、一次ソースを確認しないとぶれた認識をしてしまいかねないとのケースが増えている。

報道の質がそこまで全体的に劣化しているのか、それとも椿事件的なものが日常茶飯事化しているのか。いずれにせよ、「報道って何だろうか」との、ある意味哲学的な雰囲気すら覚える事柄について、過去の常識や前提に捕らわれることなく、現状を見極め、見据え、考える必要がありそう。それとも単に、報道界隈で文章を正しくまとめる能力が絶望的なまでに減退しているのかな。

今件でも誰が発言したのか、誰が確定したのか良くわからない、関係がごちゃごちゃした印象を受けるまとめ方の記事となっているし、議事録や書き起こしを読み解くと、報道記事が多分に実態と違えている実情が見えてくる。あるいは部分部分だけを切り取って貼り合わせているので、その部分を言及したこと自身は正しいけれど、文意全体としては違うでしょそれ、的なものもある。その切抜き部分の素材を、質問者が作っている感じもある。要は、「粗探し」すら難しくなったので、「粗創り」に方針をシフトしたと考えれば道理は通るのかしらね......と。


もやもやっとした考えをすぱっとまとめてくれた感じなのがこれ。指摘されている一つの党に限ったわけではないけれど。予め手を組んで云々といった陰謀論の類では無く、自然にこのような構図が出来上がり、それをお互いに容認......というか黙認した上で、加速化しているのだろう。議員側は政治能力が無くても目立つ、報道側は政治的な内容を精査しなくても注目を集めるコンテンツを作れて視聴率・読者を増やせる。政治への不信感や事実の伝達のツールとしての存在意義など知ったこっちゃない、的な。

加えて、「●×ですよね」『違います、そうではありません』「いいえ●×です。私はそういいましたからね」的なやり取りを成した後に、「●×であると指摘した」的に実績を披露すると共に「●×」が正しいかのような喧伝をしたり、報道が成されてしまうことも多々ある。これは議事録を確認すると、最近とみに増えているのが分かる。


情報精査の観点で、専門家というのもおこがましいけれど、報道されている内容があまりにも切り貼りに過ぎているのと編集され過ぎなので上のように解説をしたけれど、一晩立って見直しても、やはり言葉尻と感情論が渦巻いている。まぁ、人は感情の生き物であるから仕方ない面はあるのだけど、それを免罪符にして、やりたい放題の状況を見るに、ため息が出てこざるを得なくなるのも否定は出来ない。

それでもなお、指摘はするべきではあるのだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2016年2月16日 07:39に書いた記事です。

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