エンゲル係数でお騒ぎになられる方がちらほら見受けられますが、原則として年齢構成比、平均的な就労形態、必要とされる熱量、そして食文化が同一であった場合、初めて係数の差異は、生活の品質を指し示す指標の一つとなり得ます。
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016, 2月 4
いわゆるセルフサーチをしていると、本家サイトで何度か取り上げたエンゲル係数周りの記事を用いて、それが上昇しているからとの理由であちこちにカナヅチを振り回すような所業の主張が時折目に留まる。考えは人それぞれですべてをチェックしてツッコミを入れられるのは神様位なものであり、気にしていたらきりがないのだけど。記事の一部分を抽出して間違った解釈をしたり、意図的にすり替えた論点の裏付け的なものとして記事を使われると、あまり良い気持ちではないのも事実。
昨今ではエンゲル係数周りがよく参照される。で、エンゲル係数そのものが実のところ、社会生活の状況変化の度合いがスピーディーなものとなっているので、経年変化の指標としては使いにくいことは、すでに周知の事実ではあるのだけど......それを無視する事例が結構ある。
指摘の通り、エンゲル係数には多様なパラメータが影響するもので、それらが同一だった場合はじめて比較できるものとなる。昔も各パラメータは同一ではなかったけど、その動きはゆるやかだったので、あまり考慮しなくても良かった、つまり利用が可能だった。でも現在は同じような考えは難しいんだよね。下手をすると10年ぐらいで食生活を中心にしたライフスタイルは大きな変容を遂げていて、同一基準での比較は困難。エンゲル係数は参考値程度にしかならない状況なのが実情。
肉体労働を中心とする第一次、第二次産業従事者の人口比率上・絶対人数の減少と、デスクワークなどの第三次産業従事者の増加は、そのまま必要エネルギーや各種栄養素の平均値に変化をもたらし、それは食費にも影響する。肉体労働をする人が多い地域のコンビニは、大容量、塩分が強めの食品、お弁当を多めに入荷するってのが好例。また高齢者は食費がかさむので、当然係数は高く、その構成比率が上がれば当然平均値もアップする。
さらにいうと、食費は確かに欠かせない存在なのだけど、食に対するウェイト、モノの見方そのものが、昔と今とでは少しずつ変化しているような気もする。
指標をあれこれして考察したり、その数字の背景にある実情を推測して色々な情報を結びつけるのは、ジグゾーパズルを解いているようで非常に楽しい事に違いない。でも、そのツールを濫用して他人を叩く道具に使うのは、あまり好ましいものとはいえない。そのツールの内容、解釈の仕方そのものに疑問があるような場合は、なおさらではある。
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