私も一昨年からアメリカのイベントに呼ばれるようになって、コミッションを知りました。当初は試行錯誤もありましたが、考えてみれば色紙やスケブといった「用紙によってタダになる」的な日本の風習は誰の都合で出来てきたんだろうと。 https://t.co/rw5z4xNEzl
— 西川伸司@MASH (@MASH_nishikawa) 2016年3月24日
どうも日本には「対価」という認識が欠けてるように思うんですよね。どんなもの&サービスかに関係なく、「金を払う方が偉い」「金をもらうのは卑しい」みたいな感覚が支配してる気がする。
— 西川伸司@MASH (@MASH_nishikawa) 2016年3月24日
ファンとの交流としてというのは全然アリだと思うし、そういうのは私も大事にしたいと思うけど、そこでも「イベント色紙タダルール」のせいで、ファンは「描いて欲しいけど申し訳ないなあ」作家は「描いてあげたいけど軽く見られてるのかなあ」っていう、双方に不幸な状態が発生してる気がする。
— 西川伸司@MASH (@MASH_nishikawa) 2016年3月24日
アメリカのイベントでのコミッションでは、描いてあげる方も描いてもらう方も、満足げにニコニコして交流してるのを見ると余計にね。
— 西川伸司@MASH (@MASH_nishikawa) 2016年3月24日
面白いのは、その場で短い時間で描く絵には限界もあるので、あらかじめより丁寧に描いておいた絵を置くこともあるんですが、こちらは丁寧な方がいい絵だと思って値段を高めに設定すると、向こうの人は「自分の希望で描いてもらった絵の方が高いのが当然」と言われたことですね。
— 西川伸司@MASH (@MASH_nishikawa) 2016年3月24日
出版業界の影響力が桁違いに落ち込み、個人の情報発信手段が多様化するに連れ、絵などの作品を個人が直接アプローチする方法論が注目されるようになった。クラウドファンディングによる作家へのサポートやその特典なども一例ではあるし、アマゾンの欲しいものリストもそれに近いものがある。また匿名掲示板等におけるリクエストコーナーとか、ツイッターなどのソーシャルメディアでのやりとりも(無償奉仕だけど)それに近い。いわゆるスケブといわれるのも該当するのかな。
さらに歴史をさかのぼれば、王族や有力貴族がお抱えの絵師を雇ったり、あるいは高名絵師に自分の絵を描くように依頼するとか、今でも時折繁華街で見受けられる「有料で似顔絵描きます」の類もコンセプトとしては同じなのだろう。要は不特定多数への披露を前提としたものではなく、特定個人、あるいはごく少数に向けた作品制作の依頼。
その辺りの話を色々と見ていくと、確かに日本では「対価」という概念が薄い、欠けている感は強い。形にないものは原則タダみたいなところもあるし、創作物への金銭による報酬が、何か汚らわしいもののような雰囲気がある。違うよねえ、ホント。あるいは「気持ち、想いがあるのだから金銭などは別に払わなくてもいいよね」的な甘えがどこかにあるのかもしれない。サービス残業を強要する経営者に話を聞くと「愛社精神があれば云々」的なものを言い出すような。
僕もアメリカの航空イベント会場で知り合った人に本を渡す時、当然のように対価を渡そうとする人が珍しくないことに気がつきました>RT
— 松田未来 (@macchiMC72) 2016年3月24日
いや、構わないよ、と言ってもなかなか受け取ってくれなかったり。前の年の本のお返しにとわざわざ準備してくる人もいます。
受け取るとすぐなんのてらいもなく「いくらだい?」と聞いてくる自然さに、ああ、これがいわゆるギブアンドテイクって精神なのかなと思った次第です。
— 松田未来 (@macchiMC72) 2016年3月24日
もともと、売り手も客も知り合い同士の規模でしかなかった頃の同人イベントの習慣が、いつの間にかお客の方が圧倒的に多くなった今でも当たり前のこととして使う人が残った、というのが現状でしょうか。
— 松田未来 (@macchiMC72) 2016年3月24日
本当の意味での「ギブ&テイク」。お金はそれを仲介する媒体で、まずはその場で極力決済しておき、加えてさらに想いがあれば今後に連ねていく。それを「決済」の部分をパスして、「今後何かあったら」のみで善しとしてしまい、その「借用書」を心の奥底にしまいこんで決して出そうとしない。あるいはゴミ箱に捨ててしまう。それらは元々タダだから。
ドライな考え方かもしれないけれど、本来相手を信用してのやり取りであったはずのものが、それを悪用して実利ばかりを得て借用したものを返さない筋が多い、不義理がまかり通るようになってしまったので、担保となる「決済」が必要になってしまったんだろうな(無料でスケブを何度となく頼んでいた「ファン」が、それを一つにまとめてオークションで売りに出したのを見つけて、その作家先生がスケブを描くのを止めてしまったって話もある)。その意味では海外の風習はむしろ進んでいるともいえる。
ともあれ。個人的には「描き手に直接対価を渡して絵を描いてもらう」という方法論は興味深いし、確か一部のクラウドファンディング系サイトではそれに近い形のやりとりも行われている。ただ日本では版権やら第三者への披露の件、そしてなによりも対価の相場の点で、難しいのかなあ、という気はする。だってほら、LINEのスタンプとかツイッターのアイコンに係わるイラストの件で、対価どころが無料で描け的な話は、山ほど挙がっているからね......。
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