雑誌に掲載されてるファッションやダイエット法をすぐに真似しようとしたり、カリスマ経営者の紹介番組を見た次の日に自分の会社でも同じ事をしようとする人達に、「俺らは漫画やアニメを見ても実際に同じ事をしようとは思わないよ」と主張しても信じてくれる訳ないんですよ。
— げんれい工房? (@Genrei_studio) 2016年3月29日
先日明らかになった某事案で、犯人とされる人物の過去の行動様式に関して、アニメが好きでアニメキャラのグッズを持っていたとする表記が結構な分量を割いて伝えられ、その報道をソースとしてテレビ界隈でも報じられた件で改めて感じたこと。
すべての事件に係わる被疑者、容疑者がそのような報じられ方をするわけではないけれど、比較的若い世代で注目が集まるような様相の事件の場合、そのような切り口をされることが多い。あるいは対象者が暗い性格をしていたりとかね。例えば、定年退職後のお年寄りが犯罪を犯した際に、普段からアニメや漫画が好きで新作が出ると映画館には必ず足を運んでいたとか、生徒会長を歴任してテストはいつも一番、部活動でもリーダーだったけどアニメが大好きで該当作品のフィギュアを集めていたなんて話はほとんど聞かない(元々そのような事例が少ないのかもしれないけど)。
また、世間一般的には「漫画やアニメは教育に悪影響」「夢中になっているとすぐに真似をする」「だから悪い事をした人、特に若者は、漫画やアニメに夢中になって、それの真似をして過ちを犯したんだ」との流れ的なテンプレートの発想があり、その流れにあった事案が一番分かりやすい。正しいか否かは別にかまわない、という感じになる。
でも、漫画やアニメは確かに面白いし、悪影響を及ぼす面もあるかもしれないけれど、それがすべてではないし、良い影響もたくさんある。それに悪影響のある面を、すべての人がそのまま受け止めてしまうわけじゃない。それが事実なら、単なる洗脳だよね。
ただ、指摘の通り、その誘導にうなづいてしまう層、テレビや新聞が伝える内容を鵜呑みにしてしまう人たちは、同時にそれらのメディアが伝える流行やオススメ、生活改善法をすぐに自分で実施してしまう。いわゆるミノモンタ効果というやつ。コンビニで良く見かけるようになった「●×という番組で報じられました」も良い例(あれはタイアップ番組であることがほとんと。要はマッチポンプ)。
普段から自分自身がテレビや新聞、雑誌などにのせられてしまうのだから、アニメや漫画の悪影響もすぐに受けるに違いない、自分が経験したのだから間違いないはずだ、的な思い込みをしてしまう。アニメや漫画を見たからといって、それの悪い部分をそのまま真似するはずがない、むしろ「これはいけないこと」と学んでいる人の方が多い、と説明しても、信じない人が多いってのは、成程理解ができる。自分達がそのような様式だから、この被疑者も、そしてアニメなどを観ている人も......と思ってしまうわけだ。
伝える側としては読者・視聴者に受け入れられやすい、納得されやすい、そして共感を生みやすい。だからこそ特異な事件ではことさらに被疑者・容疑者とアニメや漫画が連動する形で伝えられる。ゴシップ誌のネタ話ならともかく、報道としてその手法を用いるのはどうなんだろうな。
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