「関係者」とか「関係筋」って具体的に誰? 実在するの?

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「報道」において一次情報源を明らかに出来ない場合は多々ある。情報源の安全を確保するためとか、匿名を条件に情報提供がされた場合とか。情報源の秘匿もまた、正当なジャーナリズムの存在には欠かせない要素。

ではあるのだけど。これが昨今濫用されている感はある。いや、元々そうだったのだけれど、最近バレてきただけなのかもしれない。単なる匿名情報では内容に信ぴょう性が欠けたものとなってしまうので、内部関係者的な肩書を加えた上でぼかしているけれど、本当にそれは事実を知り得る立場にある、実在する人物なのだろうか。関係者という表現だけなら、事案の中心人物でも側近でも、会議に参加していた一人でも、その勢力における下っ端でも関係者には違いない。それこそ掃除の人でも関係者との表記には間違いない。

さらに身元が明らかになっていない以上、その情報がフェイクであるか否かの確かめが出来ない。本当に事情を知り得る関係者であっても、それが意図した偽情報かもしれないし、該当事案に対抗する意見を持つ人による(本当の意味での)デマの可能性もある。

さらにいえば、その関係者がまったく無関係、さらには存在すらしていない可能性も否定できない。一次ソースを公開しない・できないという前提を乱用すれば、書き手が好きなように情報を操作できる。いざとなれば「確かに聞いた。でも情報源は明かせない」で押し通せるから。

あまりにも胡散臭い、ダミーや踊らされていたり作り話っぽい「関係者」「関係筋」が特に政府界隈からあふれてしまい、新聞などで「活躍」したため、信ぴょう性そのものが著しく毀損してしまっている。ウソばっかり語るオオカミ少年の言葉には、誰も耳を傾けないようになる。

もちろん実際に「関係筋」がその方面に実在する関係者である場合も重々承知はしている。しかしそれを悪用して、脳内関係者や都合の良い意見を語る関係者的なものを「関係筋」として記事ソースにする事例が多々生じている以上、信頼しないと切って捨てた方が、情報を受ける側としてリスクは低くなる。オオカミ少年の言は、例えそれが本当っぽくても、信じない方が全体としてのリスクは低く抑えられる。

これは「関係者」「関係筋」といった、内部事情を良く知るけれど実名を挙げられないような人が語ったとする記事に限らない。例えば、海外の関連団体でそれっぽい名前を有するもの、地域NPO的な肩書としてそれらしい、記事の主旨にそった発言をする事例を見ても、その関連団体の詳細を調べると、事案とは全く無関係だったり、怪しいものだったりすることが多々生じている。実名を挙げているものですらその始末だから、ましてや匿名となれば。

本来その辺りの話で信頼できるか否かってのは、受け手側が期待する信頼と、その信頼に応える発信側の相互信頼性が成立して、良い関係が維持されてきた。しかし発信側がその状況を悪用して傍若無人を繰り返ししでかしてしまい、それを悪しきものとして反省するどころか、正当な権利のごとく振る舞うようになる、あるいは元々そのようにふるまっていてその実態が暴露されても開き直る状況となり、相互信頼による「暗黙の了解」が失われてしまったのだろうなあ、と考える。


事情は分からないこともないけれど、一次ソースが明かせない情報は、例えそれが新聞なりテレビ発の情報であっても、話半分で聞き流し、フィクションとか読み物程度にとらえる、何かを考える際の確定情報的な素材としては使わないのが賢い姿勢なのだろうなあ、と思う。

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このページは、不破雷蔵が2016年4月24日 08:00に書いた記事です。

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