「むかしの子供は丈夫だった」と生存者バイアス

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先日本家サイトの記事を引用する形で、昔の子供は健康で丈夫で病気をしなかったけれど、今の子供は貧弱なのが多い云々的な話が出てきた。で、読み進めていくとあとはお決まりの「ガー」的なもの。さらに説明が色々と首を傾げるものだったので、読み直すとそれがいわゆる生存(者)バイアスだったという次第。死んだ敵兵だけが良い敵兵だ、の逆みたいな。

今件ならば、昔の子供も今の子供も、生物学的に急激な進化をしたわけではないので、丈夫だったりか弱いというものでは無い。栄養状態は昔よりも改善されているので、むしろ今の方が健康だろうし病気もしないだろう。他方、昔の子供のうち病気がちな、丈夫でない子供は、多分に幼いうちに命を落とす可能性が多分にあった。結果として、元々丈夫な子供が生き残る可能性が高くなるので、成長過程の中で健康優良児が残りやすくなり、はたから見れば丈夫な子供が多いように見える次第。

昔の実情を知っている、覚えている人はもちろんだけど、知らない人でも例えば「三丁目の夕日」などのような昔の日常生活を描写した作品に目を通せば、近所の子供が病気や虚弱体質で亡くなるとの話は結構出てくる。子供の死は日常の一要素だった。結果として丈夫な子供が生き残り、成長し、目につきやすくなる次第。あるいは「死者は黙して語らず」なんてのも近い言葉。


この生存者バイアスのお話は、統計や調査結果のデータを精査する上では注意しなければならない要素ではあるし、人間の錯覚としてもよくある話なので、心にとどめおいた方が良い。知らず知らずのうちにバイアスの上での結論を信じてしまったり、あるいはそれを悪用している人の話にのせられてしまうこともあるからね。

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このページは、不破雷蔵が2016年5月10日 06:49に書いた記事です。

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