打ち切りって仕事がなくなる怖さじゃないんですよ。仕事はまた新しく始められるから。「その物語のキャラの成長が、自分の作品なのに二度と描けなくなる」っていう恐怖なんですよね。急に終わりを描かなくちゃいけなくなるから。イメージする積み木を完成できず永久に心の隅に置いておく事になるので。
— 日本橋ヨヲコ★少女ファイト13巻5/23 (@yowoko) 2016年5月25日
当方自身は幸いにもこのような経験をしたことは無いのだけど、読者サイドの立場として「ああ、この作品はそろそろ終焉に向けてラストスパートをかけているな」的な雰囲気を覚える機会はある。それと同時に「まだまだ続く感じだったのに、急に駆け足になってきて、色々と違和感があるぞ」的なものも。伏線色々と用意してあったのに、それらを飛ばして何だか終わりに向かってるみたいだぞ、といった感じ。
後者の場合は大抵色々と舞台背景やら人物の描写やらを吹っ飛ばして話が突然終わり、なんだか消化不良のままでお店から叩き出されたような最終回と遭遇することになる。単行本で書き下ろしによる補填がなされることもあるけれど、それでもまだしっくりこない。
書き手(描き手)からすれば、毎回単独な話で構成されるようなものでなければ、それなりの世界観やストーリーラインを構築して連載の中でそれを具象化していたものが、色々な理由で突然打ち切りを伝えられ、その世界を閉じなければならなくなるので、色々と悲しいものがあるに違いない。仕事が1本減るとか単行本が出せなくなるとかいうのも当然だけど、それよりも自分が創造主となっていた世界の、個々のキャラの生き様が、そこでストップしてしまうから。丹精込めて育てていたのに、いきなり「あと一か月でオシマイ」と言われた時の絶望感は、大いに理解できる。自分の分身的な存在の世界を中途半端な形で終焉させねばならないのだから。
商業誌作家の中には、病症などの自分の都合によるものも合わせ、何らかの事情で連載していた作品を止めてしまった・止められた際に、他の機会でその「自分が創りだした世界」の続きを世に送り出すケースがある。同人誌界隈を色々と探っていると、時折そのようなパターンに遭遇する。自分がかつて読んでいた、けれど連載を終えてしまった作品や、その作品そのものではないけれど同じ世界観を持つ、何らかのつながりがある同人誌に遭遇すると、とても嬉しいものがある。
版権の事情など色々な大人の事情もあり、元の作品とのつながりをおおっぴらにするのは難しいようで、また同人誌という媒体上の都合から、該当作品の作家自身の情報発信以外からは、その「つながりの世界」の存在を知る機会はあまりない。何かデータ集的なものがあると嬉しいのだけどね。
ともあれ。金銭的な事情も多々あるのだろうけど、「完成できずに放置されて埃をかぶった積み木」の積み直しは、好きな作品ならば是非ともみたいものだ。当然、打ち切りが無いことが一番なのだけど。
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