「行方不明のライターがいます、連絡取れる人いませんか」のお知らせ記事がタイアップの広告記事だった件

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インサイドといえば運用企業に関しては色々と紆余曲折があったけれど、歴史そのものは随分と古く、老舗でちょっとハードルが低い、やわらかめなゲーム解説・紹介記事を展開するゲーム専門サイトとして、鉄板の存在。それだけに、今朝確認できた今件のお話は、非常に残念。

上にある通り、ゲーム「Caligula -カリギュラ-」の企画記事、要はタイアップの広告宣伝記事だな、としてフリーライターの内川たまき氏なる人物が消息不明であることを伝えるお知らせ記事が掲載されていたものの、それが実は宣伝の一環であったという。記事内リンクにもある通り、この内川たまき氏なる人物は、インサイドの「Caligula -カリギュラ-」の紹介記事をしたためており、恐らくは今件の指摘によるドタバタが無ければ、現実とゲーム内の設定とを絡めたストーリー的な展開、疑似的イベントの仕掛けをするつもりだったのだろう。ゲームに登場する現実の場で、そのゲームのポスターを掲載したり、それっぽいアイテムを展示させて一体感を覚えさせるような、そんな感じ。

ただ今件は、色々とやらかしてしまった感がある。


言うまでも無くこの手法は、いわゆるステルスマーケティング。広告である事を隠し、普通の記事として挙げてしまっているのだから。加えて、指摘されている通り、人探しという社会問題、実犯罪にも関わり得る状況をネタにしてしまっている。新聞のおくやみ記事・訃報で、ゲームのキャラのあれこれを、フェイクとは公知せずに載せてしまうようなもの。あるいは交番の尋ね人的なポスターでもいい。ステマ云々だけではなく、こえてはいけないハードルを思いっきりこえてしまった。


指摘の通り、ネット上でよく見かける人探し、ペット探しは、正直放置が一番無難な選択肢となってしまっている。探している人が本当に身内の人で困っている人なのか否か、判断が難しい。さらには本当に困っていても、それが当人の視点だけであり、第三者から見ればストーカー行為でしかないこともある。さらには当人の視点でかつ肉親などであったとしても、DV加害者である可能性は否定できない。断片的な情報だけで善悪を判断し、場合によっては致命的となりうる情報を提供するわけにはいかないから。

「自分の子供が家出してしまった。こんな特徴でこの辺りにいるかもしれない」との親の話は、実はその親がDV加害者で、子供は公的な支援のもとに逃げ出している可能性はある。「こんな特徴のペットを探しているのですが」は、そのペットの飼い主の所在を見つけ出すための、ストーカーの手口かもしれない。

今件記事は、媒体全体としてその類のセンスに係わるチェック機能が働いていなかったことを意味する。百歩譲って企画記事そのものの存在はアリにしても、「広告」の明記は今や当然のことではあるし、ましてや触れて良いネタと良くないネタの境界線は理解しなければいけない。

ちょっと考えれば、マズイかな、というのは容易に分かるはずなのだけどね。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2016年6月 1日 06:48に書いた記事です。

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