「世に知られないほうが安く買えていい」の良し悪し

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お気に入りのラーメン屋さんとか小料理店がメディアで紹介されて大評判となったら、なんだか味が雑になったり店主が横柄になって足を運びづらくなってしまったとか、あちこちに良い品揃えをしている趣味のお店がソーシャルメディアで知られるようになったら界隈の人達が集まってしまい、在庫がすぐに無くなるようになってしまったとか。自分とその他少数だけが知っていた、お得意様だったからこそ楽しめた空間が、需要が一気に増えることで台無しになってしまう、自分の利益が減らされてしまうなんて事態は容易に生じ得る。

趣味物は絶対量が多いとはいえないことが多々あるので、余計にそんな想いが強くなる。レア系アイテムがいつでも手に入るお店だったのだけどなあ、と有名店になってからの変わり映えに嘆くってパターンは結構ある。だからついつい「他人には教えず、広めずに、偶然知り得た自分だけのヒミツにしておこう」的な想いが巡ってしまう。秘密基地にぴったりな場所を見つけて、他人に専有されるのが嫌だからナイショにしておこう、的な。

でもそれは状況次第では需要が増加せずに、店舗自身が立ち行かなくなり、店が無くなる可能性も秘めている。お得意様だけで回転できる店なら良いのだけど。世に知られる、出回るってのは、それだけ多くの人が触れる機会が得られ、店が存続する可能性が増すことになる。その分自分自身の利益は減るかもしれないけれど、その店そのものが続く可能性と、天秤にかけてどちらを取るべきか。

店に限らず物品そのものにしても同じこと。以前も、ある界隈の専門家が亡くなった際に、ためこんでいた資料を遺族が廃品回収に出してしまってその分野に大きなダメージが生じたといった話をした気がする。恐らくは他人に知られることなく、この類の資料や古物が失われてしまう機会は日々生じているのだろう。時折、粗大ごみやリサイクルショップでとんでもない目玉アイテムを見つけるといった話が出てくるのも、要は目利きができる人がその場にいるか居ないかの話でしかなく。数百万円もする歴史的価値のある切手も、知らない人から見れば「なんだか見たことがない、古ぼけた切手」としか感じ取れない。

掘り出し物のお店にしても、趣味趣向の個人の古物にしても、さまざまなリスクを考えたら、できれば積極的に開示をした方がよいのかな、そんな気がする。まぁ、防犯リスクを考えると、高価なものについてはまた別の話になるのだろうけど。たとえば、時価数億円の月の石を使った彫刻持ってるよ、と自慢するのは危ないってこと。

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このページは、不破雷蔵が2016年6月 1日 07:31に書いた記事です。

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