創作とリアル感と「色あせ防止」と

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この話は何度か触れている、生活習慣や周辺環境における世代間ギャップや、昨今の技術進歩の加速化に伴う、現状描写の陳腐化が早くなっていることとも関係している。例えば30年前に当時の社会習慣をそのまま描写した表現を10年後に読みなおしても、さほど違和感は覚えないだろうけど、今から10年前の社会描写を、今見直したら古臭い、いかにも昔だ、と認識するのは間違いない。それほど世の中の変わり映えは足早になっている。

漫画や小説、ドラマなどで製作当時の最新の情勢に合わせた描写を用いる場合、その時点における「今」を感じさせたいのが理由。親近感を覚えさせたいわけだ。しかしそれが読んだ時点で「今」と違う部分が多分にあれば、昔を認識し、「今」の疑似体験から「今の時点から昔を眺めている」の現実に引き戻されてしまう。

生活習慣や様式がどこまで変わるかは未知数であるから、時代を感じさせない描写ってのは結構難しい。今から10年後には回顧主義が浸透し、チョンマゲや袴の人達で街ゆく人たちが占められているかもしれない。なので完全に「時代を感じさせない」のは不可能だけど、日常生活のやり取りがメインの作品ならば、ある程度の工夫はできる。今の様式、例えばスマホを用いたコミュニケーションをメインテーマとした作品なら、そのような工夫は不可能だけど。


これは作り手側の考え方、方針次第ではある。書いた時点での最新のネタを盛り込んで、初めて読まれた時に親近感を覚えてもらえればそれで良し、後で読み返されて古めかしさを感じられても問題ない、むしろ作品の味だとするってのもある。

ただ、発想の仕方としては十分に「アリ」なのに違いは無いし、面白い方法論には違いない。一方で、以前も言及したけれど、後にそれらの作品を見直した際に、当時の社会文化を確認する観点では、描写された時点の「リアル」を示す作品も多分にあるとありがたいなあという気はする。

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このページは、不破雷蔵が2016年6月27日 06:59に書いた記事です。

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