議員が2000円超の弁当を食べると「不当だ」と指摘する新聞って何だろう

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東京都議会の内情ぶりは先の都知事選とその後の敗戦処理で多分に露呈はされているけれど、それと見当違いのお上叩きはまた別の話。「会議費で2160円の割烹弁当」などとの中見出しで高額ぶりを強調した上で、その文中で「新生銀行の「2016年サラリーマンのお小遣い調査」によると、男性会社員の昼食代は平均587円(前年比14円減)。自民都議が政活費で食べた弁当の値段はその2~3倍にあたる」と評し、「お前ら読者と違い、議員先生はとても良いものを食べておられますよ、さあ庶民感覚を外れたかの人たちを叩きましょう」とあおる。でもそれってどうなんだろう。

国会議員にしても地方議員にしても、普通の市民にはできないことをしてもらうために選挙で選ばれ、その職務を果たしている。例えばこれが、自宅で家族と食事をしている時にも公金で弁当を取っていたとか、視察と称して実際には単なる慰安旅行で道楽三昧をするのならともかく、サラリーマンの昼食代を持ち出して比較するのは、多分に筋が悪い。ちなみにサラリーマンの昼食代云々ってのは、以前【40年近くのサラリーマン昼食代推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)】でも解説したけれど、さほど昔から変わっていない。しかも地域属性などによる補正はないので、東京などに限定ればもっと高値のはず。

先日のドーナツ市場に係わる話にも同じ香りを覚えるのだけど、なんか「これを言いたい、叩きたい」が先にあって、無理にデータなどを引っ張ってくるので、あちこちひずみが生じている感は否めない。


指摘の通り、「サラリーマンの平均昼食代が600円足らず? もっと頑張って100円玉上乗せしようぜ」とかいうなら分かる。それを「お上がもっと良いもの食ってるから、引きずりおろせ、贅沢だ」ってのは、妬み・嫉みを焚き付ける、意地の悪い話でしかなく。

第一、環境や状況を合わせ考え、それが妥当であるのなら、1000円だろうが2000円だろうが一向に構わない。今件は都議会議員だけど、国会議員だろうが何だろうが同じこと。

昼食代など食品の価格を出して「議員は贅沢」と切りこんであおる方法は、首相のカツカレー事案や天ぷら事案が記憶に新しいところ。わっと騒いでお上叩きの材料としては容易なのだよね。先日の「怒らせて本音」と同じ、報道のテンプレ。天ぷらで無く。

第一昼食代云々としても、環境やら何やらで多分に変動する。記者界隈の感覚として「ほーら、お上はお前らよりもこんな贅沢なことしてるんだぞ、叩け叩け」という感じで。似たような贅沢を記者界隈も多分にしながら読者を煽り、それこそが記者のあるべき姿だと自己満足する図式があるわけだ。

それほどまでに議員の昼食代であおりたいならば、まずは報道界隈の昼食代の平均値を出してみてはいかがだろうか。役員幹部まで合わせ、可能ならば局ごとに。その上でなら、読者感情をあおって「お上は贅沢だ」とする意見にも、ある程度は正当性が出るかもしれない。

ただし。仕事の内容と合わせ考えれば、正当な労働には正当な報酬の言葉に有る通り、議員先生が食する食事代としては、十分相応なものだとは当方は考える。時間のコスト換算とか、リスク勘案までも含めて。むしろ議員の食事が会議や出先も含め、毎日三食カップ麺とかスーパーの期限切れ間近の値引き弁当だけだとしたら、その方が問題だと思うけれどもね。

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このページは、不破雷蔵が2016年8月14日 07:35に書いた記事です。

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