広島・長崎の原爆はドイツ製だったと称する話は、もうトンデモ話なのだが、あれは日本への航行中にドイツ降伏に際会し、米軍に投降したU234がウランを積んでいたという事実から尾ひれがついたらしい。(続)
— 赤城毅 (@akagitsuyoshi) 2016年8月6日
ちょっとでも正史をかじっていれば、タイトルにあるような話はネタとか架空戦記以上のものではないことは、すぐに判断できるはず。ドイツ製として存在する類のものがあれば、それこそ大戦末期にドイツ軍自身が使っていたはず。ドイツ製のその類の物品は、Vシリーズのロケットとか、ジェット戦闘機周り(戦後史に登場する米ソの兵器や宇宙系技術では、その影がちらほらと。特にソ連製の兵器は、ね)。
(承前)積み荷にウランが入っていたこと自体は二十余年前に機密解除された米軍の文書によって証明されている。私もみましたが、U234乗員の指紋を取った書類なども混ざった、生々しいものでした。(続)
— 赤城毅 (@akagitsuyoshi) 2016年8月6日
(承前)ただし、この押収されたウランがどこでどう使われたかは判然としない。当時、U234をテーマにドキュメンタリーをつくったNHK(私も協力しました)がずいぶん調べたのだけれど、つきとめられませんでした。(続)
— 赤城毅 (@akagitsuyoshi) 2016年8月6日
(承前)というわけで、このドイツ製ウラン(といっても、潜水艦に積めるぐらいだから少量)がマンハッタン計画に流用されて、広島・長崎の原爆に使われている可能性を100%否定することはできないのだが、だからといって原爆がドイツ製だと強弁するのは無理でしょう。(続)
— 赤城毅 (@akagitsuyoshi) 2016年8月6日
(承前)広島原爆忌の日に、カビの生えたデマをみかけたので、一言述べさせていただいたしだいです。
— 赤城毅 (@akagitsuyoshi) 2016年8月6日
で、お話の通り、材料となり得るウラン(U235。ややこしい)を積んでいたU234の話とか、そのウランがどこに行ったのかがよくわからないってことから、タイトルのような話に飛躍したようだ。恐らくは日本に向けて運ばれていたんだろうな。......ってそう書いてあるな。
なので、指摘されている通り、ドイツ製のこのウランがマンハッタン計画に使われていたことを100%否定することは不可能だけれど、その可能性はゼロに等しい。タイミング的に、マンハッタン計画そのものがこの「拾いものが無ければ計画続行は不可能」とするような暗中模索な計画であった可能性は無いし、万一使われていたとしても、予備的なものとか調査目的程度だったのではないかな、と。そしてそのようなことをするためのリソースが確保できたか否かもちょいと疑問。
そんなわけで、ドイツが反応弾...じゃなくて核爆弾を創っていて、それを米国が流用したとか、日本に投下されたものがドイツ製ってのは、ネタとしては面白いけど、それ以上のものではない。まぁ、ドイツの技術が戦後の米国やソ連などに大きな影響を与えたことは否定しないけれどね。
今度は、三発目の原爆が投下されていたが不発だったという昔々の与太話をみかけたが、あれも嘘っぱちですから。たしか、二十年ぐらい前に週刊新潮が追っかけて、こういうことですとあきらかにしていた記憶がある。
— 赤城毅 (@akagitsuyoshi) 2016年8月6日
これもネタ話としては結構有名。架空戦記のネタ元としても使われることも少なくない。どうせなら二発目、あるいは一発目が不発で、日本軍に回収されたけど、結局手出しも出来ずに終戦、そして各国がブツを回収するために暗躍する、的な話の方が面白い気がする。不発に終わったことで歴史の流れも多分に変わるだろうから、結構ダイナミックな歴史改変が楽しめるかもね。
コメントする