「国の借金」「国民一人当たり」がコンボで出たら頭が悪いか意図的にあおってる証拠

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財務省は10日、国債と借入金などの残高を合計した「国の借金」が6月末時点で1053兆4676億円になったと発表した。

というわけで先日財務省から最新データとなる2016年6月末の「国債及び借入金現在高」が発表された。本家サイトで逐次精査している家計レベルの貯蓄や国債の詳細データに関してはもう半か月ぐらい後になりそうなので、更新もそれが確認できてから。

それはともかく。この発表があるたびに報道界隈で使われるのが、国債発行額などを「国の借金」「国民一人当たり」と表現する事。その方が危機感を煽りやすいし、分かりやすい説明だと思っているのかもしれないけれど、これって「分かりやすいが正しいとは限らない」の典型的な事例。

「国」との表現では日本国全体、国家組織や所属企業、民間人すべてに至るまでとの誤解が生じますが、今件額面は日本国政府による借入金となります(元資料表記も「国債及び借入金現在高」)。国民一人当たりの借金云々との表現は多分にミスリードを招くため、使用はお勧めできません。驚かせる文言の方が注目を集めるからと「国の借金」「国民一人当たり」などの言い回しを使うのは、止めていただきたいものです。国債の約9割は日本国内で購入され、それは同時に日本国民には債権にもなります。さらに日本国債は円建てによるものです。


最近では日銀が国債を購入する割合が増え、一部専門家は懸念の声を挙げていますが、日銀が得た利益(国債の利息)のうち経費や税金を支払った後の剰余金は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国民の財産として、国庫に納付されます。さらに政府は日銀の株式を55%保有し、相応の配当も受け取れるのです。


国債の発行高=政府の借金を国民ひとりひとりの借金として説明するのはミスリードにもほどがある。記事タイトルなどにもある通り、書き手の頭が悪いのか、あるいは分かった上であおっているのか、どちらかしかない。

まぁ結局のところ、このたぐいの話は事あるたびにツッコミをいれていくしかないんだろうな。

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このページは、不破雷蔵が2016年8月11日 06:38に書いた記事です。

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