「麻生氏『証券会社勤めはやばい』」と編集と印象操作と

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麻生太郎副総理兼財務・金融相は30日、東京都内で講演し、「何となく債券、株に投資するのは危ないという思い込みがある。あれは正しい。われわれの同級生で証券会社に勤めているのはよほどやばいやつだった」と述べた。

この類の話は以前も何度か言及したけれど、その状況に変わりがないどころか頻度が上がっているように見えるのは、やはり報道の質そのものが低下している、元々この質の程度だったのが暴露されやすくなっているのかなという気がするお話(当方もすべてのニュースを隅々まで精査しているわけじゃないからね)。挙句の果てに、これも別記事で言及しているれど、「是非とも皆で騒いでください」を意味する「物議を醸しそうだ」まで使われており、テンプレ式のバッシング目的な記事である事が多分にうかがえる。


さらに文中に参考例として挙げられている、2009年の麻生氏の「見下した」発言も、当時のやり取りを起こした議事録によって、そのような意図では無い、少なくとも報じられているような主旨では無いことが分かる。にもかかわらず、このように時事通信からして伝えているあたり、歴史はかくたるように捏造されていくのだなと実感させられる。

中には「編集されて、切り貼りされて悪意のあるように受け止められるような発言をするのが悪い」とする論説もある。それも間違いではないかなと思ったのだけど、よく考えてみると、編集を好き勝手に行い、語り手の主旨とは異なる伝え方を是認したことになるため、「ならば切り貼りのガイドラインはどこに? どの程度までならOKなの?」ということになる。極論として単語単語を切り貼りしてまったく別のことを語ったように伝えられても、「それを話したから悪い」ということになる。こんな理不尽なことはない。


2009年の話が出てきたので当時検証した2事案を挙げたけど、この類の記事は概してリソースを大量に消費するし、成果が得られない(記事化できない)事も多々あるので、手掛けるのに躊躇するだよね。しかもこういうものは本来、報道そのものがやるべきもの。でもそれに合えて手をつけていない。面倒なのが分かっているし、さらに自分達のお仲間を否定するのはできるだけ避けたいからだろう。相互不可侵的な。だからこそ、報道界隈は「反論されることがない」とたかをくくってやりたい放題やるのだろうな。かつて情報が一方向性のものだった時の習慣のままで動いている。


もうすでに多くの報道で、さらに報道で無くてもネット界隈の情報でもそうなんだけど、一次ソースなり裏付けが取れていないモノは話半分とかネタ話とか、調査をする上でのきっかけとして使うのが一番確実で安心できる状況となっている。今件のような話でも、議事録なり前後も合わせた映像資料を突き詰めないと、報道の真偽が確認できない、そんな時代。

今件に限っても、実情を鑑みた上でこの発言を「放言」として非難の対象とし、周辺界隈に「騒ぐように」と煽り立てるようなレベルのものと報道が判断するのなら、各新聞社が毎日掲載する「社説」の内容は、毎日放言と評価しても、誰も否定はできないのではないのかな。その辺りをまずは、今回記事をしたためた時事通信の記者の方におうかがいしたいところではある。

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このページは、不破雷蔵が2016年8月31日 07:50に書いた記事です。

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