2chで頻出の「半年ROMれ」というフレーズは、ある意味で「今のお前では誰かのオモチャにされて深く傷つくぞ、引っ込んでろ」という優しさだったのだ。半年ROMれと諭してくれる人と出会える場がなくなって、インターネットキッズたちは無防備のまま闇に晒されることになってしまった。
— terrakei (@terrakei07) 2016年8月26日
ROMとは元々Read Only MemoryとかRead Only Memberの略で、今件では後者の意味。掲示板などの書込みを読むだけで、書き込みなどをしない参加者を意味する。「半年ROMれ」は「素人は引っ込んでろ」「黙って読むだけにしてろ」「空気を読まずに書き込むな」といった意味ではあるのだけど、同時に単に「黙れ」「出てけ」よりも随分と気遣いがされているのと共に、「お前にはこの場に参加する経験が足りない。もう少しレベルを上げてから参加するのだな、ほっほっほっ」と修行物の作品に登場しそうな老師的優しさも意味するようになった。まぁ、某格闘ゲームでの「10年早いんだよ」と比べると随分期間は短いし(笑)。
で、この「半年ROMれ」は指摘の通り、読む事で場の雰囲気を読む経験を得て、あえて実際には書き込まずに流れを把握することで、疑似的に参加するようなトレーニングをする必要があるとの解釈ができる。OJTみたいなもの......ともいえるかな。
でも最近はそのような指図をしてくれる界隈はあまり見なくなった。LINEなどのチャット系の場合は、そのようなアドバイスを受ける機会もなければ必要もない。電話を使う時に「半年は聞いているだけにしろ」とか理不尽すぎる。そしてもちろん教本のようなものもない。
結果としてインターネットにおけるあれこれを学ぶ機会が無いまま、インターネット初心者的な人達は荒波にもまれることになる。新兵として入隊したら制服と武器と教本を渡され、すぐに最前線送りされるようなもの。訓練の時間すらない。これはインターネットキッズに限らず、大人でも変わらない。
今まさにTLを騒がせているゴルスタとか、ちょくちょく晒しあげられる中高生の実名Twitter垢とかを見るにつけ、自分たち世代が最初に触れたインターネッツが匿名巨大掲示板だったのはイージーモードっていうかチュートリアルレベルだったのかと感じざるを得ない。
— 10V@大百科本通販リプにて受付中 (@10V_tkc) 2016年8月26日
今は文明の黄昏的な状況になっている某超大型掲示板は、その意味では絶好のトレーニングエリアだったのかもしれない。イージーモードとか、チュートリアルとかは言い得て妙。まぁ、場所によってはベリーハードなイージーモード(何それ)のところもあったようだけど。
インターネットやそこで展開されるサービスはインフラのようなものだとすると、ネットにアクセスできる機会を与えられて、いきなりコミュニティサービスを使うのは、それこそ自動車免許も持たずに実物の自動車を運転するようなもの。教習所での訓練や試験はもちろんだけど、遊園地にあるようなカートでの走行感覚の体感的なものも必要なのかもなあ、と。クラス内だけで使えるイントラネットでコミュニティサービスとか......ってああ、これが非公認のものになると、いわゆる「学校裏サイト」になっちゃうのか。色々と考えさせられるものがある。
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