「昔より今の方が物騒な事件が多い」との錯覚のもう一つの理由、の可能性事案

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以前も言及したし本家サイトでも犯罪意識に係わる内閣府の調査結果で分析した件ではあるのだけど。昨今の中堅層後半からシニア層界隈における「今の世の中は昔と比べて物騒になった」「昔は治安が大変良かった。今の方が色々と騒がしい」といった「三丁目の夕日症候群」的なお話の実態。実件数としては大よその犯罪種類において件数は減っているし、対人口比率も下がっている。上昇しているのは昔無かったタイプの犯罪とか、環境整備に伴い増加が生じ得るタイプのもの位。絶対件数だけでなく人口比でも減っているので「子供の人数は漸減しているから数が減って当然」というのは説明にならない。

で、「今の方が物騒」というイメージが刻まれているのはいくつか理由があり、「昔のことは忘れてしまっている」「昔は情報伝達が限定的で自分の足で行けるところ以外の話は、本当に全国区的な大事件しか目に入らない」「情報取得手段そのものが限られてた」といった感じ。歳を取ると時間に余裕が出来て、それらの情報を取得する機会が増えているってのもあるかな。

そして今回指摘されて、ああそうかもなあと思わされたのは、この話。事件周りのニュースを伝えるテレビ番組そのものが少なかったとの話。その可能性はあるし、見方としては非常に面白い。


社会学の学者先生なら徹底的に過去の新聞の縮刷版を精査して統計を取るのだろうけど、当方にはそこまでのリソースが無い。論文周りは探せばあるかもしれないので、これは今後の課題かな。ただ、過去のテレビ番組表の記録をたどるに、指摘されたようにニュース番組そのものは前世紀末辺りを境い目に、昔は今ほど多くは無かった感がある。

加えて、以前報道の意義周りでも言及したけど、プレスとオピニオンをごちゃごちゃにしたニュースステーションが受けたことで、各局ともこぞってニュース番組とワイドショーをかき混ぜた番組をワイドショー枠で展開するようになったので、その辺りもまたニュースとしての事件情報の公知機会が増えた一因となっているのだろう。

印象論、感情論で騒ぐのは個人の自由であるし、感情を持つ生物の人間である以上、仕方がない面もある。しかしそれで事実を踏みにじられ、遠回りをさせられ、リソースを浪費させられ、結果として多くの人がより大きな損失を被るのは、やはり良い事ではないと思うのだな。

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このページは、不破雷蔵が2016年9月15日 07:51に書いた記事です。

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