犯罪報道とその詳細の解説と模倣リスクと

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事件そのものが現在進行中で、どのような犯人像なのかが色々と指摘されているので、その事件そのものはさておくとして。今件の事件でも強く感じたのは、指摘されている「犯罪行為に関する詳細な手法の、公的メディアへの露出」。

実名報道と同じ雰囲気も多分にあるのだけど。本来このような手法の情報は、事件報道の上ではまったくもって必要がない。むしろそれを見た人による模倣リスクの弊害の方がはるかに大きい。自殺報道に関わる話はWHOのガイドラインがあるし(日本ではほとんど守られていないけど)、実名報道に関しては何度か言及しているようにその意義について論議が交わされているけど、この類の「模倣犯を誘発するような報道」は、さほど問題視されていない気がする。けど不味いよね。

意味があるのか否かの点では意味が無く、むしろマイナス面が大きい。ではなぜそのような報道がと考えると、やはり指摘の通り、放送時間の引き延ばしのための埋めぐさとしてのものだろう。「視聴者需要が」と反論をするかもしれないけど、どのようなものにも需要は存在しえるし、メリットとデメリットを考慮せずに判断して垂れ流すのなら、社会の公器としての存在意義は無い。


容易な手法を公知するということは、それを防ぐ手立てを考えさせる機会を与えてくれることをも意味する。その点ではメリットもあるのだけど、どちらに天秤が傾くかはケースバイケースで、情報を提供しようとする側の熟考が求められる。今件はいわずもがな、伝えてはいけないケース、だとは思うのだけど。

そこまで考慮ができないほど、報道界隈の質は劣ってしまったのか。いやむしろ「考慮したとしても、他が伝えると自分たちが遅れてしまうので」ということなんだろうな。赤信号、みんなで渡れば怖くない、的な。

困った話には違いなく。

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このページは、不破雷蔵が2016年9月28日 07:23に書いた記事です。

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