「あなたの画像を無料で出版したい。宣伝になるから謝礼は無しで。オッケー?」

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一応事前に許諾を求めるだけでもまだマシかなあ、というポジティブ思考とかもあるけれど。そういや先日、猫の写真を似たようなスタイルで無断で冊子化した事案とか、アートだからと勝手に素材化したケースもあったっけかな、と思い出しながら。

この話の様相からは、多分に出版社は似たようなケースの人にあちこちへアプローチをかけていて、オッケーをもらった人からのみの集約で冊子を作り上げるんだろうなあ的なところまでが想像できる。

「紙媒体は偉いし権威があるし話題にも登りやすい。冊子に載っただけでも名誉と思うべきだし、宣伝にも使えるから対価は無しね」的なアプローチってのは、実は日常茶飯事的にあったりする。紙媒体の部分が著名な紙媒体と連動しているウェブだったりとか、対価が無しの部分が雀の涙でお弁当代ぐらいにしかならない場合とか、細かい部分で違いがある場合もあるけれど。

宣伝効果になるから云々ってのも、実はかなり怪しいところがある。具体的な宣伝効果が出るほどの出版量であるのなら、原稿料なり版権料なり謝礼の類はそれなりに用意されていなければならず、それが用意できていないのは、編集や制作サイドに致命的な予算管理上の問題があるのか、あるいは宣伝効果が期待できないほどの規模でしかないということ。

先日の【慣行的なタダ働き「スペックワーク」におさらばを】と近しい香りも覚える。これが常識なのだから、うまくいけばあなたも益を得るのだから、そんな感じ。今件ならば「これが機会で有名になれるかもしれないし、テレビで取り上げられるかもしれないし、アイドル的なペットとして注目されるかも」というニュアンスが多分にあるのだろう。


今件の場合はお断りをしたそうだけど、すべてがすべて同じ対応をしているはずもなく、引き受けてしまう人も出ているんだろうなあ、という感はある。イラストレーターの買いたたきとか、その辺と構造的に似ているような気もする。

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このページは、不破雷蔵が2016年10月 2日 08:02に書いた記事です。

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