タモリ倶楽部の漢文学者の元教授、何かの書籍に60万の熟語が集めてある、に「先生はその60万全てをご存じなのですね?」と聞かれ、「知っているわけがない」と強く返す。そして付け加えた。「知識でしゃべる人は専門家じゃない。調べ方をちゃんと知っているか知っていないかが専門家」だそうです。
— 三隣亡先生 (@HiroIshiwata1) 2016年9月19日
これはほんとよく聞く。「ググりゃいいんだよ。皆ググって仕事してるんだから。問題は、どうググればいいか知っているかどうか」
— H3Y (@tonarinohey) 2016年10月13日
これを聞いて笑っちゃう人もいるんだけど、本当にこれが専門家なんだよなと思う。
先日取り上げたツイートの一つを別の視点から。机の上にたくさんの資料を置きっぱなしにしているのではなく、たくさんの書籍を収納した書棚を持つこと、そしてその書棚の中から適切な資料をさくっと引っ張り出してこれるインデックス能力、それこそが専門家としての必要なスキルだとの話。
指摘の通り、昨今ではネットそのものがその書棚に近い状態となりつつある。ただ、その書棚的な存在のネット、検索エンジンの使い方が分からない、分かっても使いこなせないというケースがあったりする。機能としての使い方のレベルだけでなく、出てきた情報の精査の仕方とか。
グーグルの使い方を知っているということと、ある専門的知識をグーグルを使って効果的に収集し体系的に理解できる基盤があるからどうかということは別ですよ
— H3Y (@tonarinohey) 2016年10月13日
グーグルの使い方、機能の使いこなし方自身は、それほど難しいものではないしグーグル自身にも説明が用意されているから、誰でも容易に習得できる。でも問題は、グーグルに入力するキーワードそのものや、その組み合わせ、そして出力された結果をもとに、どうやって自分が欲している情報を紡いでいくか。そのためには、指摘の通り、包括的な情報収集のノウハウ、幅広い......というか広く浅くでよいので、紐づけできるさまざまなリンク情報、そして場合によっては併用するための他のウェブサービスの知識なども必要になる。また、信ぴょう性がおける情報か否かを瞬時に判断する経験則やノウハウ。
要は、包丁や鍋の使い方を知っていて、レシピも習得していても、美味しい料理を作れるとは限らないということ。
この辺りの話、はたから見ていると普通の人がやっている入力、検索と同じようにしか見えないので、技術的なものとかノウハウや経験が欠かせないというのがなかなか分かってもらえない。累乗的に増加しつつある情報の中から、適切で的確な対象を抽出するのがいかにやっかいで手間がかかるのか。評価してもらうのは難しい話ではあるのだけどね。
当方が時々ツイッターで「実在した」「本当だった」とかやるのも、実はこの辺りの話の訓練でもあったりする、という。同時に記事のネタになるか否かの精査も兼ねているのだけれどね。
コメントする