サービスが終わると消える情報群

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情報の大切さと取り扱いのしやすさ、そして喪失のされやすさに関しては、以前にも何度か言及したことがあるけど。指摘されている通り、デジタル系のサービスで提供される情報は、得てしてそのサービスが終了した途端に、情報そのものが消えてなくなってしまう。扱いやすく蓄積されやすいから、かえって埋もれてしまうデジタル系の情報の特性だけでなく、発信元が消えてなくなるとそれでオシマイというリスクもある。 物理媒体ならば出版社が倒産しても、刊行物が残り、情報が伝播されつづけることは多々ある。ゲームにしてもスタンドアローン系のカートリッジやCD-ROMタイプなら、そのハードの生産が終わった後ですら遊ぶことは可能。でもソーシャルゲーム、オンラインゲームではそれはできない。サービスが終わったらクライアントソフトを立ち上げても、サーバーとの接続はできるはずもない。
ある意味、色々な姿かたちに変えている情報には、一定の「伝播力」ってのが備わっていると思う。その「伝播力」を閲覧しやすいように、拡散しやすいように形を変えていったのが、出版物であり、デジタル情報である、と。ただし、使いやすいように「伝播力」を消費するに連れて、その保全力は落ちてしまう。石板なら読みにくいし拡散はしにくいけれど、情報の保全は長期間にわたる。デジタルは利用しやすいけど、瞬時に無くなる可能性は多々ある。一定量の粘土を平たく伸ばすか、球形に丸めるかの違い、そんな感じ。あるいは時間軸方向に伸ばすか、利便性の軸に向けて伸ばすか。
危惧している人は結構いるようで、何か対策を打つべきだとか、サービス移管や保全提供などの手法を義務化すべきだとの話もある。特に最後の「サービス終了時の利用者保護、情報の拡散化」ってのは、あってしかるべきだと思う。「利用権を販売しただけだから、物理的アイテムを提供するわけにはいかない」「サービス終了時にそのようなものを生成するリソースなど残っているはずがない」といった反論はあるだろうけどね。だったらその辺りの権利を公的に回収し、再生成して提供できる形のデータにする専用処理機関を創設するのもありじゃないかな。
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このページは、不破雷蔵が2016年12月11日 07:56に書いた記事です。

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