金曜プレミアム・池上彰緊急スペシャル https://t.co/Vb4jiYsTjc 前回 | 2016年12月16日(金) 19:57~22:52 放送 格差はなぜ世界からなくならないのか▽貧しい人がますます貧しく...深刻データ語る日本の格差 pic.twitter.com/g9AFUJHW6Y
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016年12月17日
12月16日にフジテレビ系列で放送されたという「金曜プレミアム・池上彰緊急スペシャル 格差はなぜ世界からなくならないのか▽貧しい人がますます貧しく...深刻データ語る日本の格差」という番組で使われた、日米の所得に絡んだグラフ。そのものの画像や映像は権利関係があるので(引用の領域をこえるとの判断が成される可能性はある)直接の提示は止めておくけれど、どうも印象操作的なグラフの使われ方がされたとの指摘が多数挙がっている。
それを「プレゼンの手法だから別に悪くない」と擁護する声もあるけど、不特定多数に向けた解説番組で使うのは、良識、常識を超えた問題がある。第一、日米のグラフに関して色々と見せ方を変えて、米国はさほど変化は無い云々とするのは明らかに「格差」の話とは違うところがある。
①先の https://t.co/YSghvttwhr で指摘されている、池上氏の番組による「格差グラフ」の件。取り急ぎご報告。データ取得元は The World Wealth and Income Database https://t.co/RqHmHpy1FK です。 pic.twitter.com/CWyH8FxaHU
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②データを確認したところ、現時点で米国は2015年、日本は2010年までの収録のため、日本が2010年分までしかないのは仕方なし。他方、基準点を1980年にした理由は不明。米国は1917年、日本は1947年から上位1%・下位90%で取得可能です。
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③まずは番組で使われた領域をそのままに、同じ方法で、但し縦軸は両国そろえた上でグラフを生成します......随分と違った印象を受けますね。インフレに関しては直近年のレートで換算した値を用いているので、考慮された上での値となります。 pic.twitter.com/VBGPImzi2m
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016年12月17日
④さらに米国の年を日本に合わせて、2010年を最新にしてグラフを再生成します(レートは2015年のを基準となりますが)。格差の観点では、むしろ米国の方が大変大きな開きとなります。また日本は震災、超絶円高、その後の景況感の回復が反映されていません。 pic.twitter.com/MjUT2H49K6
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016年12月17日
⑤良い機会ですので、日本を戦後で一番古い値の1947年を基準にした計算もしてみました。やはりバブル崩壊後のデフレが、格差を広げた感はありますね。 pic.twitter.com/WnSxWP21ha
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⑥ともあれ。あのような形でのグラフ展開による印象付けは、遺憾であるというのが当方の感想です(終わり)。
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先日の件。日米合わせて一枚のグラフにすると、先のデータの本質がよくわかります。 pic.twitter.com/Smt9eHsm3s
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016年12月17日
で、その画像に小さく書かれていたデータ抽出元を見つけ出し、そこから直接値を取得して、同じような、ただし正しく比較できるようにグラフを作り直して色々と考えたのが上の結果。番組で使われていたグラフとはダイナミック印象が違うし、そもそも番組で語られていたような「日本はヤバイ、米国より格差が云々」ってのが成り立たない。
両国とも直近年の自国通貨の価値で換算してあるので、消費者物価指数やらインフレなどは考慮しなくてよい。これを見る限り、指摘もしているけど「格差が拡大しているのはむしろ米国。日本は一部で言われているように、格差は小さなもの」「日本はバブル崩壊、デフレ突入時期から格差の拡大が生じている」「日本では中堅・低所得層の所得は減退中」などが分かる。
ただ最後の「日本では中堅・低所得層の所得は減退中」に関しては、日本の高齢化社会の深刻化も考慮に入れる必要がある。人口構成比で定年退職後の高齢層が増えてくると、生活費は「年金」「嘱託などの低賃金労働対価」そして「貯蓄の切り崩し」で賄うことになる。この場合、所得となるのは前者二つなので、当然低所得となり、平均値を押し下げることになる。正規・非正規率における賃金格差もあるけど、これは米国でも実のところはさほど違いは無い。
この辺りを元資料のページでもう少し調べておく必要があるかな......という気はする。
なお、記事題名にある「なぜ印象操作はなくならないのか」は、もうお分かりの通り、主題というか最初に「こうしたい」「このような表現をしたい」「これを訴えたい」という確信的利益があり、そのためにはあらゆる手段は正当化されるってのがあるからなんだろうね。それが間違ったものであったとしても、解釈としては首を傾げるようなものであったとしても。分かりやすいは正しいとは言えない。何度繰り返されてきたことか。
まさにそれはプレゼン的手法に違いないのだけど、それを公共の電波を用いて行ってよいのか否かといえば、否と断じざるを得ない。
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