「子供の視力が過去最悪」との報道で

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裸眼視力については、低下傾向が続いていて、視力1.0未満の子どもは、小学校で31.46%、中学校で54.63%、高校で65.98%となり、それぞれ、1979年の調査開始以降、過去最悪となった。

今件報道内容は文科省の「学校保健統計調査」の速報値によるもの。通常は毎年1月の半ばぐらいに公開されるのだけど、先の人口動態調査の速報値と同じように、今年度は前倒しでの発表。なんかこう立て続けに起きると、官公庁内で何かムーブメント的なものがあるのかもしれないなあという感が。

で、報道の仕方自身には首を傾げる次第。「過去最悪」「スマホ普及など要因」と書くと確かに目を引くしそれっぽいアピールはできるだろうけど、伝え方としては正しいのだろうか......という、先のグラフ問題と似たような疑問が湧いてくる。

記事上では明記されませんが一次資料は12月22日付で文部科学省から発表された「学校保健統計調査-平成28年度(速報)の結果の概要」です。同省の公式サイトから詳細値を取得できます。


一方、視力に関して「過去最悪」との表現が成されていますが、調査結果が容易に取得可能な1979年度以降の動向に限れば、幼稚園・小学生は1979年度以降、中学生・高校生は1980年代前半から悪化傾向にあり、スマートフォンが普及しはじめたこの数年に限らずの動きです。

スマホの普及が一因には違いないでしょうが(それとて今件は相関関係であり因果関係を示すものではありません)、それがすべてでは無い事は再確認しておくべきでしょう。


で、本家サイトの記事では恐らく来年に入ってからの更新作業になるけど、前年分までの動向がこんな感じ。数字の上では確かに過去最悪かもしれないけど、今年度で急にとか、ここ数年で著しくってわけではなく、長期的な動きで視力は悪化している。「過去最悪」には違いないけど強調するまでのものでは無く、スマホ云々も一因でしかないだろうしそれも相関関係でしかない。

どうもこの類の「報道」が目に留まると、パクリまとめサイトと何ら変わりはない質にまで落ちているのだなあという実感をじわりと覚えてしまうものである。

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このページは、不破雷蔵が2016年12月24日 06:58に書いた記事です。

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