人気を推し量る物差しとしてのリアルタイム視聴率と、出版業界の「本屋で直に発売日前に予約」と

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ビデオリサーチがタイムシフト視聴率(本放送から1週間以内に再生放送されたものも視聴率に勘案するタイプの視聴率計測方法)の技術運用と、試験的な視聴率の発表を成してから、テレビ業界では色々と思惑が錯綜しているとの話がある。視聴率は番組の人気視聴となり、それは同時にCMの単価を決定づけるものとなる。新聞なら部数、雑誌なら印刷証明部数みたいなもの。厳密には随分と違うのだけど、イメージ的にはそんな感じ。アプローチが届いているかという意味だから。

で、指摘の通り、リアルタイム視聴率が時代遅れになっているからタイムシフト視聴率の運用開始をしたわけなんだけど、一方でリアルタイム視聴率で無いと都合が悪いところも少なくない。その一つが雑誌業界。仮にタイムシフト視聴率がメインとなると、その値が出るのは最速でも一週間後。その値を元にあれこれ記事を書き始めるとなると、雑誌媒体の情報反映は、これまでと比べて最低でも一週間は遅くなる。今現在ですら、ネットとの時間格差が指摘され、独自価値が求められている状態なのに、これ以上時間差が開いたら、テレビそのものとそれを支えている(と自認している)紙媒体などの差異はますます広まってしまう......というのが、タイムシフト視聴率に反対する動きの一つではないかな。

ただ、個人的にはリアルタイムであろうとタイムシフトであろうと、視聴率への指針度合いは以前と比べて薄まっているし、併用できる別の指標も必要な時期に来ているのではないかな、という気がする。そもそも「人気」=「視聴率」としちゃって良いのか否か。


視聴率の話や色々な周辺界隈の思惑を見聞きしていると、連想せざるを得ないのが、今の出版業界の問題。連載の継続や単行本化の判断の際に、出版社側は本屋での予約注文の数字を判断材料として用い、ネットの予約や注文の数は検討に入れていないとの指摘が多々ある。中にはちゃんと配慮しているとの意見もあるけど、今なお圧倒的に本屋優先主義。

本屋が行動領域内に無いので使えないという意見も多々ある。先日言及した通り、予約をしても発売日に配本が無いとのケースもしばしば耳にする。「本屋経由のでないとカウントしない」ってのは、そのようにしかできない仕組みの旧態依然さが問題であるのに解決をしない業界側の怠慢でしかないとか、思惑として本屋の売り上げ底上げに寄与したいからではないのかとか、色々とドロドロ感は否めない。作者先生を呼んだサイン会とか特典も展開して本屋を助けていますよという話もあるけど、それも大手の本屋で、中小の本屋はスルーされてしまう。

他方、地方の本屋の閉店状況に関しては、統計を探さねばならないしそもそもそんな統計があるのか否かも不明だけど、単に出版業界の不調さによるものではなく、他の小売店の閉店、シャッター街化同様に、経営者の高齢化・引退によるところも大きい感はある。「経営不振で借金苦で、なら家ごと撤去しているけど、そういうケースはあまりない」との指摘を受け、自分の行動領域内を見返してみたけど、確かにその通りだったし、上でツイートしている通り別の店(多分に「自分の好きな事」的な)に切り替えているのも多々見受けられる。

昨今の社会問題の多くに関係している、高齢化とその高齢層の人口構成比上の問題からくる意見力の過剰な大きさが与える社会的影響。これが出版業界にも影を落としているような気がしてならない。

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このページは、不破雷蔵が2016年12月24日 08:08に書いた記事です。

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