四半期ごとに繰り返される「国の借金」報道

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去年末時点の「国の借金」は、国民1人あたり約841万円になりました。財務省によりますと、国債や借入金など国の借金の総額は去年12月末時点で1066兆4234億円に上り、去年9月末と比べて約3兆8500億円増えました。

財務省の四半期単位での速報情報の公知のたびに、この類の「国の借金」「国民一人当たり」の言葉が乱舞し、可能な場所ではツッコミを入れる仕事がはじまるよ、的な状態。最近では債券派な経済専門家も似たような言及をするようになって、よほど日銀による買い入れが気に入らないご様子。

「国の借金」との表現では日本国全体、国家組織や所属企業、民間人すべてに至るまでとの誤解が生じますが、今件額面は日本国政府による借入金となります(財務省の資料上の表記も「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」)。「国の借金」との表現はミスリードを招きます。驚かせる文言の方が注目を集めるからと「国の借金」「国民一人あたり」などの言い回しを使うべきではありません。国債の約9割は日本国内で購入され、それは同時に日本国民には債権にもなります。さらに日本国債は円建てによるものです。


最近では日銀が国債を購入する割合が増え、一部専門家は懸念の声を挙げて、「意味が無い」とも言及していますが、日銀が得た利益(国債の利息)のうち経費や税金を支払った後の剰余金は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国民の財産として国庫に納付されます。さらに政府は日銀の株式を55%保有し、相応の配当も受け取れます。


その記事でも解説しておいたけれど、「国の借金」「国民一人当たり」はイメージしやすい言い回しではあるけど、本質から外れている内容で、「分かりやすいが正しいとは限らない」の好例でもあったりする。「一部分だけを見せて全体像を錯誤させる」の例でもあるかな。


同じく財務省発表資料や世界銀行の公開データベースを元にした、関連すると思われる記事などを参照に。これらも解説コメントに添付できるとよいのだけど、システム的に無理があるし文字数も足りない。

この辺りの話は、根本的に報じる新聞社やテレビ局が理解していないのか、あるいは方針としてこういう形で伝えるようにテンプレートができているのか...。頭の痛い話には違いない。

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このページは、不破雷蔵が2017年2月11日 06:56に書いた記事です。

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