本日のイベントに絡み、若年層の死因で自殺がトップ云々との話を見かけ、違和感を覚えて調べ直したところ、誤解していた点が分かったので覚え書き。(少々連投します)
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2017年2月24日
保険や社会関連でよく見かけるこの表(2015年の人口動態統計確定数から作成)を出して「日本は若者の自殺が多い。だからダメ」との話はよく見聞きするのですが、これを見て「若者の自殺率って中堅層以降と比べてもそんなに高いの?」とイメージする人も多いはず。当方もそうでした。 pic.twitter.com/Ndu0SAjE9v
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2017年2月24日
で、ふと疑問が。「もしかしてがんと似たような構図では?」と。主要死因別に見た死亡率をグラフ化してみる https://t.co/3gS3D2RtDm でも説明していますが、がんによる死亡率が上昇しているのは、他の病因による死亡率が減っているため。 pic.twitter.com/cJUDt7ydnK
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2017年2月24日
先のプレミアムフライデーに絡んで、日本では若年層の死因のトップが自殺だからダメなんだ云々という話があり。いつもの事で社会がダメ、日本がダメ論者が騒いでいるなという感想と共に、ふと気になることが。自分自身も含めこの話に関して、「若年層の死因トップは自殺。中堅層以降よりも高率」というイメージがあるけど、それって本当なのかな? トップであるってことと、他の年齢階層よりも高い値ってのは別物で、もしかしてがんのお話のようにイメージと実情は別物では......という疑問が沸き上がり。ちょいと厚生労働省の人口動態調査の結果から精査をしてみた次第。
そこで人口動態統計の確定数から、各年齢階層別に自殺による死亡率を算出したのが次のグラフ。結果として、成人ではほぼ変わらず、中堅層からはむしろ増える感すらあります。 pic.twitter.com/AXVMx9XVXQ
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2017年2月24日
つまり直近なら15~39歳で死因が自殺のトップにあるのは「他年齢階層より自殺による死亡率が高い」のではなく「他年齢階層より他の病因による死亡率が低いため、相対的に自殺が最上位に上がってしまう」のが実態である、と。
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で、結論としては「若年層の死因トップが自殺」は事実だけど、イメージとしての「若年層の死因としての自殺率は、中堅層以降よりも高い」は間違い。むしろ「中堅層と変わらない、むしろやや低い」のが実情だった次第。つまり他の死因の率が低いので、相対的に上がっているのが実情。
直近で死因が自殺の年齢階層15~39歳における、自殺による死亡率の推移はこのような形。1970年代以降はほぼ横ばい。不景気でいくぶん上昇の動きを示しています。中堅層は景気による影響を受けやすいようです。 pic.twitter.com/KlNXqERfWo
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なお1955年に大きな上昇が見られますが、「1998年から「経済・生活問題」が急増」 https://t.co/KrMg6YkTVP などによると「自殺原因は「厭世」」「「厭世」の背後には貧困、病苦、事業の失敗などがある」となっています。
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個人的に気になるのは、それよりも若い層、10~14歳における動向。増加の気配を見せています。 pic.twitter.com/vgp7ooSalx
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2017年2月24日
経年動向を合わせ見ると、昔と比べては減っている、景況感に大きく左右される、昔と今とでは原因と思われる要素に変化が生じている(当人に実情を尋ねるわけにはいかないし)など、色々なことが改めて浮かび上がってくる。まぁ、今件に関しては詳しい資料や白書が厚労省、警察庁、内閣府などから定期的に刊行されてるし、詳しく分析されている方も多数おられるので、当方としてはこの程度で。
「若年層で自殺が死因がトップなのは、他の病因による死亡率が他年齢階層より低いため。死因率そのものが他年齢階層より高いわけでは無い」が分かっただけでも良しとしよう。
「WHOの自殺報道ガイドライン」を日本のマスコミは知っているか https://t.co/I4h1uFLAxH 4年前の記事。覚え書きとして。
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2017年2月24日
関連の話として。これは4年前の記事だけど、この時から状況は何も変わっていないのだよね。困ったものだという感じ。10代前半の増加傾向も、あるいはこれが一因じゃないのかな......という感はあるのだけど。
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