日本のテレビのリモコンとシンプルなFire TVのリモコンを比較して優劣を競うツイートが流れてきた。気持ちはよくわかるけれど、事実とは全く異なっている。(続く
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
まず、日本のメーカーは何度も何度も「ボタンを減らしたリモコン」をセットにして出荷している。「裏返してスライドしておくと、電源と2つの上下ボタンしかない形になる」という凝ったデザインのものまである。だが、それらは結局支持を得られなかった。いいものなのに。(続く
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
まず、多くのメーカー関係者曰く、「高齢者ほど要望が二分しており、ボタンを望むのはまず高齢者である」という皮肉な話がある。ソフトでメニューを移動する作りは、若い層しか許容していない。リモコンに「はっきりした機能名ボタン」を望むのもこの層。(続く
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
テレビというのは意外なほど保守的な道具で、しかも使い方にもバリエーションが広い。IT的な進化は必要なのだが、そこでの操作はいまだ決定打がない。なにしろ「ソファにケツを下ろすとIQが20下がる」法則があるので。(続く
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
ボタンが多くなるのは「人によって楽に使いたいと思う機能が違う」のに「メニュー操作だととたんに評判が悪くなる」ことのジレンマの結果であり、逆にいえば、テレビメーカーが「顧客の意見に振り回された結果」でもあるのだが、「これ」という決定打がなかなか出ていないのも事実。(続く
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
「声での操作」が注目されるのはこうしたジレンマの結果なのだけれど、その実現が大変なのはみなさんご存知の通り。一方、「テレビでの音声検索は、利用するとリピート率が年代を問わず非常に高い」という調査が複数のメーカーで出ており、そこが、各社が期待を抱く理由でもある。
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
まとめると「人や世代によって『求める機能』は少しずつ違う」「見た目のシンプルさがニーズに合わないときもある」「でもメーカーがその声に振り回されるとどんどん発散してしまう」「解決のためには、大胆に技術的ジャンプが必要となる時がある」というところでしょうか。
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
該当ツイートは引用しないけれど、日本のボタン沢山なリモコンと、画像上のインターフェイスとシンプルなリモコンを比較して、「だから日本はダメだ。ハードに偏ったから云々」という話があり、それへのツッコミ。むしろこちらの方が理解納得できる解説ではある。また、以前話題に登ったエアコンのボタン周りにも通じる話。
思いっきりぶっちゃけると高齢世代はボタンを好み、その世代の需要と声が大きいので、製品もそちらにシフトしがちではある。テレビは特に高齢世代の需要が高いので、このような結果に陥りがちということ。さらにぶっちゃけると、今のテレビ番組も似たようなものだよね。
見方をかえると日本でこのような状況が特化的に生じているのは、他国と比べて高齢世代の人口比率が異様に高いため。これも高齢社会の弊害......というとざっくばらん過ぎるけど、あながち間違ってはいない。
ただそれは同時に、技術の停滞をも意味する。以前も触れたけど技術の加速化が顕著な現在では、技術の陳腐化も時間的に速いものとなっている。そのような状況で高齢世代の力がありすぎて技術が停滞すると、引っ張られる足の度合いは極めて大きくなる。医療技術や社会の安寧で高齢世代の数が増え、意見力が増すと、そのコミュニティの科学文化が低迷するってのは、ある意味空恐ろしいまでの自然の摂理的バランス調整の仕組みな気がする。
@mnishi41 松下に勤めていたころの話。
— DoGA (@DoGA_CGanime) 2017年3月19日
当時、ビデオの録画予約を如何に簡単にするかが大きな問題で、松下はバーコードリーダーという手法に。しかし現場から、高齢者には無理との報告が。"手が震えて、正しく読み込めない"
@DoGA_CGanime あー。すごくありそうな話をですね。で、便利でも「少しでもダメだという顧客がいるなら再検討」という上役の判断までセット。
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
補足しておくと、テレビを含む家電において「操作を快速にしたり見やすくするために大幅にコストが上がる時は諦める」判断を日本の家電メーカーは繰り返し、それが進化を阻害した、とは真剣に思っている。(そういう意味での操作性向上に興味がない同業者や流通関係者が多く、失望したことも多い)
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月19日
コストの増加はずっとそれが続くのか、量産や普及によってコストが下がり、パフォーマンスが良くなり、費用対効果が改善されうるのか否かまで検証されたのか否かが気になる。単純に初期投資がもりもり上がるのはどのような場合でも同じなんだけどね。その辺りの計算までしているのか否か......。あるいは遊び的な試行錯誤ができるか。その中で時折当たりはつかみうるから。
ステートレスじゃないと高齢者が理解出来ないのかな。 https://t.co/UoRdTMDSih
— GOROman@帰国 (@GOROman) 2017年3月20日
そうそう。IT機器が苦手、という方を観察すると、年齢に関わらず「状態遷移」が体感的にわからない、という印象ですね。 https://t.co/pgAcnqP2da
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月21日
@mnishi41 祖父母に携帯電話の使い方を教えた時、同じボタンなのに画面の状態によって機能が違う、というのが難しいようでした。終話キーとメインメニューに戻るボタンが同じ、左カーソルキーと階層を一段階上がるのが同じ、など。
— なぎクローバーZずら (@nagi1026) 2017年3月21日
まさにそれですね。「同じところにあるものが時によって役割が変わる」のが非常に苦手。 https://t.co/j5aGTfJueJ
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月21日
ステートレスってのは雑に表現すると、1行動が1結果のみ。一つのボタンは一つの役割だけで、色々な意味合いは持たないってもの。ドアを開けたら中に入れるってのがステートレスで、開ける前にドアマットを踏んでいると音楽が鳴るとか、夜ではドアが開かないってのはステートレスではない......ので状態遷移が分からない人には理解把握が難しくなる。要は段階的な発想、組み合わせの試行が苦手ということ。これは「覚えるのが大変」ということで、高齢世代に特に多い。
あと、ゲームをした子供がIT機器に強くなる(というか忌諱感がなくなる)のは、ゲームが状態遷移(状況によってボタンの動作が変わり、画面表示が変わる)の塊だから。最近はスマホやタブレットからそれを体得する方が増えていますが。
— Munechika Nishida (@mnishi41) 2017年3月21日
その観点では指摘されている通り、子供からデジタル系のステートフル(ステートレスの逆)の権化ともいえるゲームに慣れていると、状態遷移の概念が当たり前のように認識できるので、色々と生活の上で有利になるのだよね。
今件で当方があえて「高齢層」ではなく「高齢世代」としたのも、実はここがポイント。現在の高齢層は自分の人生の多分をステートレスなものに囲まれて生きてきたので、ステートフルなものに慣れておらず、拒絶する。今後ステートフルな環境で生活してきた時間が長い人が高齢者となるに連れ、この辺りの常識はどのように変わってくるのか。本来は世代単位での技術シフトのはずなんだけど、上でも触れている通り技術が加速度的に進んでいるので、世代交代が追い付かず、ろうが、もとい高齢世代の権限が中途半端に強いままとなっているので、技術の足を引っ張っているのではないかなあ、という感は否めない。
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