以前働いていたお店で、元アニメーターの人がいて、ある日店長から販促用ポスターのイラストを描いてと頼まれた。さすが元プロだけあって大した出来だったのだが、タダで描いたそうな。んでそれを聞いた他のやつが「俺にも描いてよ、タダで描いてくれるんでしょ?」と言うと、「それはできない」と
— SOW@新刊9月発売に延期! (@sow_LIBRA11) 2017年7月18日
断った。憤慨したそいつは「なんでだよ!店長にはタダで描いたんだろ!」と言うと、元アニメーターの彼は「店長は最初に、『いくらくらい払えばいいかな』と聞いてくれたんだよ」と返し、タダで描かそうとしたやつはなにも言えず引き下がった。
— SOW@新刊9月発売に延期! (@sow_LIBRA11) 2017年7月18日
以前説明した「お客様は神様です」の真相の話(【「お客様は神様です」はお客が使ってはいけない】)とも通じる話。友達価格で、知り合いだから、近所同士だから、親族だからということで、プロの仕事を値切ったり、タダで(得てして無料とはいわずボランティアと言い換えたりする)やってくれという話はしばしば耳にするのだけど。結局のところ、仕事を発注する側が値切るってこと時点で、発注される側を見下しているか、弱みを握っているか、発注側が高い位置にあるとの認識をしていることになるんだよね。発注される側にとって、それが許容されるはずもなく。
今件の場合は、力量を認め、最初はしっかりとした対価を提供するとのアプローチをしてきた。だからこそ受ける側も色々と吟味し、これまでの経緯を鑑み、対価無しで引き受けた次第。それを見て、俺もタダにしろという話は、単に「無料で仕事をこなしてくれる、都合の良いやつがいる」という認識をしているに過ぎないわけだ。
「あなたの技術には価値がある」と認め、お金を払う前提で頼んだ店長は、ちゃんと彼をプロ扱いしていたわけで、だからこそ、「いつもお世話になっているあなたからお金はもらえませんよ」と、私的な好意が生まれたのだろうねぇ。それ抜きでおいしいとこだけつまもうとしても無理という話だよ。
— SOW@新刊9月発売に延期! (@sow_LIBRA11) 2017年7月18日
技術を認める、仕事を評価する、以前からの関係があった。それらがあったからこそ、受け手はロハで引き受けても良いと判断し、返した。その辺りを全部ふっ飛ばして、「タダでやれ」というのは、一見の客が突然「この商品をタダで寄越せ」と強要しているのと同じなのだな。
まぁ、タダでと求めた側も「上手くいけば儲けもの」ぐらいにしか考えていなかったのかもしれないけど、実のところこの類の話って結構多かったりする。相手のリソースを消費する可能性がある行動を求める時には、基本的にその対価を支払うのが前提。これまでに色々と関係を持ち、その対価となりうる蓄財も成さずに、突然「くれ」と言われても......となるのは当然の話。
似たような話で、すでに価値が無いものをあるかのように見せかけて、等価交換の材料として用いる場合もあるので、要注意。名前を出してあげるからとか、リンクを張ってあげるから、とかね。
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