こういう話を聞くと「編集者の仕事って何なのだろう?」と思って仕舞いますよね。
— 葛西伸哉 (@kasai_sinya) 2017年7月20日
ネット小説には書き手も読み手もいて、介在してないのは編集者なんですから、ネットに評価を任せるのなら不要なのは誰かという話になってしまう。
「なろうで3万ptとったら出版してやるよ」と編集に言われ、本当に3万ptとって別の出版社から出した作家さん知ってます
— 年中麦茶太郎@魔法適性ドラマCD化 (@ZZT231_) 2017年7月20日
大元になる話が削除されてしまっているので補足すると、ある作家に編集者が「創作投稿サイトに投稿をしてください。一定数の評価があれば書籍化しよう」と持ち掛けたというもの。ネット界隈で人気が出る、リサーチがなされていれば書籍化されてもそれなりの売上が見込めるだろうからとの目論見なのだろうけど、そこに編集者の意味はあるのか、その創作投稿サイトの管理側の人ではないのだから、投稿した作家がどこに書籍化を持ち掛けても意味はないよね、という感が。
作家側が本当にその編集者の属する出版社からこそ出したいという思惑があるのならいざしらず。
作家を育てることに投資しない出版社の何がまずいかってえと...ネット経由の青田刈りで根こそぎ人材を使い捨てた後に慌てて人を育てようと思っても、育て方のノウハウは失われているんだな。いや、今まさにそうなりつつあるのかも。
— 松田未来 コミケ92土曜日ミ48a (@macchiMC72) 2017年7月24日
だから、新人のみなさんには「人を育てる気がある」出版社/編集部を選んで欲しいと思うのです。まだそういうところは無くなったわけじゃない。
— 松田未来 コミケ92土曜日ミ48a (@macchiMC72) 2017年7月24日
ネット経由で見つけてきた「もうすでに売れてる(pv稼いでる)」ことが保証されてるネタを見つけてきて本にするというのはそれはそれで商売だと思うけど、それは売れるであろうネタに食いついたんであって、書いた(描いた)人を買ったんじゃないよね、というのが見えてて辛い。
— 松田未来 コミケ92土曜日ミ48a (@macchiMC72) 2017年7月24日
この国が世界でも珍しい書籍文化(漫画含む)を構築できたのは、人を育てることに投資してきたからなんだよね。それを自然発生した良さげなものだけを刈り取っていただきますという業態が当たり前になったら、終わりが始まる。
— 松田未来 コミケ92土曜日ミ48a (@macchiMC72) 2017年7月24日
自立したビジネスでやっていける人もいるにはいるけど、それはやはり「すでにものになっている」人が圧倒的だろうと思う。僕は編集者と作家の組み合わせが作り出す足腰の強さを信じているので、そういうスタイルも残って欲しいとは思う...でももしかしたらそれは別の業態が取って代わるのかもしれない。
— 松田未来 コミケ92土曜日ミ48a (@macchiMC72) 2017年7月24日
このへんの話を一側面から鋭く分析...というか解説したのがこの指摘。要は「投稿サイトで人気が出たら(出版した時の売れ残りリスクが低くなるから)うちで出してあげる」という話ってのは、編集者の仕事を丸投げしているのに他ならない。昨今ではαポリスをはじめとして、自社内でウェブコミックなどを掲載し、調子が良い≒市場調査の結果として人気が出ていることが分かる作品を優先的に書籍化するパターンが出てるけど、これって結局は雑誌による披露と読者アンケートによる市場調査をウェブに移行しただけの話。ウェブ掲載時も担当編集はつくし、色々とサポートもしてくれる。創作投稿サイトの場合はそれが無いから(一般投稿の限りでは)玉石混淆になる。絵師向けの投稿サイトも似たようなもので、担当が付く云々ってのは無い。
で、投稿サイトに丸投げして良いものを抽出するってのは、指摘の通り、在野でたまたま上手く育ったものを拾い上げるだけなので、芽が出ている・芽が出そうな、けれどまだ育っていないものが腐ってしまうことになりかねない。生まれた子供を野原に投げ捨てて、一人で育った人だけを向かい入れるような社会。自分で書いてて「ひでぇな、それ」と思ったよ、さすがに。
「だってお金ないしー、リソース足りないしー、しかたないじゃーん」と、丸投げな編集スタイルを良しとするのなら、それもまた選択肢の一つだろう。ただその先には、編集者自身の存在意義はどれほどのものになるのか。編集者も、その上に居る人たちもよく考えた方が良いと思う。景気が悪いからと中途採用のみで充足して新卒を取り入れなかったら、その層の人材が枯渇するのと状況と同じ。
電子書籍は印税率高いかわりに売れた分しかお金がもらえないから単行本と違って出版社が作家をヒット作が出るまで育てるって事が出来なくなるのよねえ・・・WEB漫画掲載とかで生活できるだけの報酬を払ってるとかならいいんだけど。
— ざらぶ (@zarabu01) 2017年7月24日
話はちょいと脇道、蛇足感もあるけど、似たような部分もあるので。この指摘は確かにその通り。紙媒体の印税は契約にもよるけど、初版は売れ残っても出版社側が買い取りでまとめて印税が支払われる。二刷り以降は少数ずつ刷ったり、売れ残りが多そうな場合は確実に売れた分だけ印税が...ってこともあるけど。これはケースバイケース。初版を全部買い取りってのは、原稿・描き下ろし・調整作業料の意味合いもあるのだな。全編描き下ろしの小説などの場合はほぼ原稿料みたいなもの。
他方、電子書籍・雑誌の場合は指摘の通り、デジタルで販売数ががっつりと出る。売れる時は品切れとか重版とかのタイムラグを気にすることなく、スロットの数字のようにガチャガチャと販売数と振込額が上昇していくのを堪能できるし、しばらく経ってからも少しずつ、確実に売れていくのをありがたく感じられるけど。育つ課程にある作家が兵糧切れを起こしやすくなるのも事実。スタート後の助走段階が長い人もいるけど、そういう人が育たなくなってしまう。
それが世の定めというのならそれでオシマイなのだけど、それはそれで理不尽な気もしてならない。何か良い仕組みがないかなあとは思うのだけど。
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