ガラケー向けの「ケータイコミック」はせいぜい10年間しか続かず、マンガ言説が具体的に言及することなく消えてしまったらしいということに、この間気づいた。しかも、かつての貸本等と違い「古本」に当たるという方法も採れない。
— 伊藤 剛 (@GoITO) 2017年8月1日
今世紀初頭のマンガ史には、すでに大きな穴が開いてしまっている。
物理媒体とかスタンドアローン形式で配信されるエンタメコンテンツは、サービス提供元が滅んでしまったりサービスが終了しても、何らかの形で手元に残る。でも現在主流の「利用者はコンテンツを見る環境を提供されているだけで、コンテンツそのものを受領しているわけではない」スタイルだと、サービスが終了したら実質的には何も残らないので、記録が失われる。サービス提供元が情報を残していればよいけれど、それでもどのような内容だったのかを再現するのは難しいし、ましてや提供元が解散したり、情報を廃棄してしまったら......
という話は以前にもしたし、ゲームなどのエンタメに限らず、多方面で危惧されているお話ではある。実のところ指摘されている、従来型携帯向けのコミックは無くなってしまったわけでは無く、今でも存続しているのだけど、流行の時にどのようなものがあったのかを再現するのは、ちょっと難しくなっているのには違いない。まぁ、初期のケータイコミックは多分に雑誌などのコミックのコンバートをしたものだからまだしも......。
これゲームでも同じことが言えて、ここ10年市場で大きな存在となっていたケータイゲームでさえ、もうプレイ不可能なものが多く、ゲーム史としてアーカイブがないと。しかも性質上、一応ローカル保存可能な電子マンガや書籍と違って、他の媒体の復刻も困難。おそらく今のソシャゲもそうなる。 https://t.co/04zKABNFdY
— 中杜カズサ@夏コミ1日目ツ-59a (@nakakzs) 2017年8月1日
ネット必須化によるゲーム史におけるアーカイブ断絶問題 | ゲームミュージックなブログhttps://t.co/SAeBalz72w
— geek@akibablog (@akibablog) 2017年8月2日
しかも性質上、この類のエンタメコンテンツってのはアーカイブ化は難しい。保全できる形に置換しなきゃいけないから。あるいは提供サービスそのものを丸ごと保全するという手もあるけど、費用は莫大なものになるし、そもそもたいていの場合は運営上赤字が出たから終了したのであり、それを残すのは採算上では無理ってことになる。
一部のゲームで見られたように、仕様をスタンドアローン型に切り替えたモノを作り上げて残すとか、さもなくもプレイ中の動画とか各種資料を保全するぐらいしか方法が無い。ましてやコミックなどについては、記録そのものが色々な観点で難しいから、紙媒体化されていないものはあきらめるしかない。国会図書館に保全ってわけにもいかないし、ねえ。
この辺りの話は定期的に登ってきているので、関連界隈の危機感も大きいのだろうけど、具体的な解決策というのが見いだせないままでいる。何か良い方法はないものかしら。プログラムだけ残しておいても、再生できる環境が無ければ意味はないし。
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