日本の報道番組は「人手不足」という表現を使って、まるで悪いことが起きているかのような表現をしているけれど、CNBCなど米国の経済メディアは「雇用は改善したが、さて賃金の上昇は?」という前向きな方向で経済を解説している。この違い、何なんだ?
— 斉藤久典 (@saitohisanori) 2017年8月9日
米国の経済メディアに出演する経営者たちは「私たちは雇用の増加に貢献する」と、いちおう建前かもしれないけど明確に語る。日本の経営者がテレビに出ても新商品のコマーシャルみたいな話が多いのは、何なんだろう?と思ってしまうだよ。おらは。
— 斉藤久典 (@saitohisanori) 2017年8月9日
昨日、NHKがニュース・ウォッチ9という番組で「景気ウォッチャー調査」について解説してたんですけど、おもむろに司会者が内ポケットから紙を取り出し、そこに「人手不足」と書いてあるんですね。これ、いかにも人手不足が元凶だといわんばかりの演出だなあ...と思ったです。 https://t.co/GEJqVzCHAG
— 斉藤久典 (@saitohisanori) 2017年8月9日
ちなみに米国の議会では「失業率の改善は明らかに良いことですが、しかし労働者の賃金の上昇が弱いですね。これは、なぜだと議長は考えてるんですか?」と議員がイエレン議長を追及する。日本の国会は、追及するツボを間違えてるとしか思えないだよ。
— 斉藤久典 (@saitohisanori) 2017年8月9日
ちなみにイエレン議長は弱い賃金の伸びについて「金融危機で真っ先に仕事を失った黒人やヒスパニックの人たちが、ようやく職に戻れた状態で、いまだに賃金の上昇が実現になっていない」とか議会で説明している。日本の新聞には載ってないかも...だけど。
— 斉藤久典 (@saitohisanori) 2017年8月9日
斉藤由貴の不倫とか、五体満足だか不満足の人の離婚とか、どうでもいいから、「なぜ日本人の賃金が、なかなか上がらないのか?」そこを真剣に報じて欲しいだよ。おらは。
— 斉藤久典 (@saitohisanori) 2017年8月9日
これは景気ウォッチャーに関する記事でも繰り返し言及しているけど、「人手不足」という言葉には色々な意味が内包されており、イメージだけで振り回されちゃいけないってのが実情。人手不足が生じているってことは、ミスマッチの問題も多分にあるけど、少なくとも失業率は改善していることになる。人余りがさほど生じていない、人材の募集が多々あり、仕事につきたいけど仕事が無くて頭を抱えているケースが少なくなっている。
で、人手不足が生じていて、それでも失業率がゼロでない、失業者が一定数いる場合、何が問題なのか。できること・できないこと・したいことのミスマッチとか、技術面での問題とか、場所の兼ね合わせとか、色々とあるけど、その要素の一つが労働環境。
先のセブン-イレブンでの保育所の新設のように、「働きたいけど子供を預ける場所が無くて......」ということで、働けない人もいる。そのような人にとって、件の施策は願ったりかなったり。つまり、企業にとって人手不足を解消したいのなら、自らの手をより遠くに、より低い場所に差し出す必要がある。労働環境の整備や、賃金の引き上げなどをして、働きやすい、良い条件を提示しなきゃならない。労働力の市場関係は、すでに変化を遂げている。ライバル店が多数近所に出店してきたら、サービスを充実したり良い商品をそろえたり、品ぞろえを豊富にしたリ、値引きしないとやっていけなくなるのと同じ。
それほど難しい話じゃない。人手不足云々というのなら、賃金などの雇用環境の改善を推し量らねばならない。それをした上で、それでもまだ人手不足だというのだろうか。日本における「人手不足」の話には、その部分の論説が多分に欠けている。
賃金周りの話、最初は職を失っていた人が職についたので、全体としての賃金上昇には数字として出てこないってのは実のところ、ここ数年の日本と同じ状況。「実質賃金(の全体平均)」としてここしばらく騒がれていて、最近になってぴたりと止んだアレ。これも実はこれまで職に就けなかった人とかが職につけるようになったり、定年退職をした人が非正規で再雇用されたので、均して計算すると賃金が横ばいだったり、下手をすると下がってしまう。
その辺りはちょいと情報をたどれば、そちら方面の専門家ならばすぐに分かるはずなのだけど。そういう話はウケが良くないし、叩きには使えないからねえ。悲しい話には違いない。
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