「話せば分かる」は相手に言葉が通じるだけじゃなくて

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同じ言語帯にある人、同一言語を認識している人なら、会話ができれば「話せばわかる」とする誤解がある。たとえ言葉が違っても、翻訳者がいれば、翻訳機器があれば、ある程度意思疎通はできるはずだ。そんなことを思ってしまいがちだけど、それは残念ながら誤認でしかない。

言葉は通じる、意思を表すことはできる。でも話を理解して納得してもらえる、語っている内容を理解してもらえるとは限らない。

これってちょいと例を考えればすぐに分かるのだけど、例えば江戸時代の人が現在に来たらどうだろうか。言葉は通じるだろう。でも単語単語で知らないものが色々と出てくるし、社会風俗や常識の違いが多々あり、言っている事は分かる部分もあるのだけど、理解ができない、常識が違ってなんだか分からないってことが多分に生じてくるハズ。

以前何度か例に出した、最近では10年も経つと世代間ギャップが生じて言葉が伝わりにくくなるっていう話があるけど(「テレビのダイヤルを回す」とか「記録のアイコンのマーク」とか)、それが大きなスパンで生じている感じ。翻訳機を持つ宇宙人との会話にイメージは近いかも。

指摘されている通り、言葉が通じた上で話をして理解してもらえる、説得できるってのは、同じような価値観、背景、常識、認識を持った人同士での間に限定される。相手が誤認識をしていてそれを理解できる場合、知らなかった場合など、かな。元々常識が違う人には、話をしても理解してもらえないってのが多々ある。正論なんてのは相手も同じ思考軸を持っていないとダメで、さらには数理的、論理的な話でも相手が誤解釈の上での数理を持っていては通用しない。天動説を信じている時代の人に、地動説を元にした話をしても、納得してもらえないのと同じ。


戦前の軍事クーデター未遂事件の五・一五事件での「話せばわかる」『問答無用』とか、某漫画「ミノタウロスの皿」での有名なセリフ「言葉は通じるのに話が通じないという......これは奇妙な恐ろしさだった」がまさにそのもの。

テストに出るぞ、という感じで照れ隠し的に表現されているけど、世の中には少なからずそういう状況があるのだということを認識しておくと、色々と理解納得できることがあるのだよね。

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このページは、不破雷蔵が2017年8月22日 07:07に書いた記事です。

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