「20年前に比べて世帯年収の中央値122万円も下がった」という話の中身

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しかし、そこから年収は下がり始めました。2001年に500万円を割り込み、その後は、400万円台に逆戻り。2014年からは少し上向きましたが、最新の2015年のデータで中央値は428万円。ピークに比べ122万円低くなっています。中間層の収入は下がり、所得の低い世帯の割合が増えているのもグラフから見えてきます。

先日「20年前に比べて世帯年収の中央値122万円も下がった」なる文言と共に、数万リツイートもされていたテレビ番組のキャプチャ。そこから連なる形で景気は悪い、政府は何もしていない的な話がつらつらと。またどこぞのネタ系番組が...と放置していたのだけど、一次ソースが確定出来て、なんとNHKが特集的に掲載していたので唖然とする次第。中身を読んでさらに唖然。これでいいのかNHKとか、そこに出てくる専門家の方々。

騒がれていたツイートが一次ソースが確定できたのと、その一次ソースで用いられていたデータを特定できたので、色々と精査をし直した。厚生労働省の国民生活基礎調査がベースで、幸いにも使われていたデータ全てがe-statから直取りできる。


で、結果としてはこんな感じ。要は数字としての提示そのものは間違いではないけれど、状況分析などがデタラメで、実情を把握した上での説明になっていない。大げさに例えると、相撲取り100人でも子供100人でもお客様100人には違いないよね、という感じ。

世帯構造の変化とか年齢階層別構成比が大きく変化していて、その変化によってさまざまな統計上のひずみが生じているのだから、そのまま平均値を出して比較すると、大きな錯誤を生み出してしまう。中央値を使っている以上、統計的なひずみには配慮しているはずなのに(平均値は算出が簡単で指標の一つとして重要だけど、偏りが生じていると実態を表しにくくなるという弊害がある)、こちらには丸きり考察を入れていないとは。

ニュースにしたタイミングも合わせ、色々と疑いを持つ、フェイクニュースというかアンフェアニュースと評せざるを得ないのだな、ホント。

...あと今回算出したもので。意味があるのかどうか不明だけど、世帯所得の中央値を平均世帯構成人数で割ると、平均世帯所得中央値の一人当たりの額とか、さらには平均世帯所得中央値の有業者一人当たりの額が算出できるよね。これはこれで面白そうではある。

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このページは、不破雷蔵が2017年9月27日 07:55に書いた記事です。

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