「狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり」とユーチューバーと

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警察官の目の前で、白い粉が入った袋をわざと落とし、その様子を撮影してYouTubeに投稿していた男女が9月8日、偽計業務妨害の疑いで逮捕されました。動画は8月30日に投稿され、100万回以上再生されるなど注目を集めた一方、悪質だとしてネット上では批判も寄せられていました。

先日もちょいと触れた、悪質なユーチューバーがお縄になったという話。詳細は記事にある通りだけど、ヤクの売人、あるいは利用者のふりをして警察官の前で白い粉の入った袋を落として追いかけられるまでを、警察官も含めて演技というわけではなく、マジモノでやらかしたところを動画にとらえ、それをユーチューブに流して人気を取ろうとした話。

いわゆるドッキリものを真似たと本人らは思っているのだろうけど、正常な公務の執行を妨害したことから公務執行妨害になるのかなあと思っていたら、偽計業務妨害の方でした。でも罪には違いない。というか、やっちゃいけないことってのは分別のある大人なら分かるはずで、この辺りはおでんつんつん事件とか、公共施設に無許可でドローンを飛ばした話とか、アイスケースの中に入ったり鼻に牛丼屋の唐辛子を差し込んだりするのと何ら変わりはない。

承認欲求ってのもあるのだろうけど、それよりもむしろアクセスを稼ぎたい=利益を得たい、そのためには何事も許されるという「ユーチューバー無双」的なルールが勝手に構築されつつあるのが怖いところ。

吉田兼好の随筆「徒然草」の第85段には次のようなお話があります。


「狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。驥を学ぶは驥の類ひ、舜を学ぶは舜の徒なり。偽りても賢を学ばんを、賢といふべし。 」
(気がおかしくなった人の真似をして大通りを走れば、それは気がおかしくなった人そのもの。悪人の真似をして人をあやめれば、それは悪人そのもの。一日に千里を走る名馬に学べば、その馬もまた一日千里を走る名馬になる。聖王と呼ばれた舜の行動を真似すれば舜と同様の名君になる。真似事でも賢さを真似すれば、その人は賢いと言われるべきである)。

YouTuberによる動画は主に小中学生が視聴すると言われています。映像は文字や画像以上に強い印象を与えるものです。作り手には目立てば、アクセスが稼げれば良いのではなく、公共電波による子供向け番組同様に、十分な配慮を願いたいものです。


とはコメントした内容ではあるけど。徒然草でもすでに指摘の通り、悪い人の真似をして公の場で同様の行為をすれば、それはもう悪い人と同じでしかない。また、動画はフィルタリングの調整も難しいところから、小中学生もほとんどノーパスで閲覧できてしまう。(最近では色々と疑わしいけど)子供向けテレビ番組で色々な配慮がなされているように、動画製作者にも配慮をしてほしいものだ......とは思うのだけど、配慮しない方が楽にアクセスを稼げるのなら、面倒なことはしたくないのだろうな。じきに規制が必要になるような気もする。配信する側か受信する側か、どちらに、かは分からないけど。

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このページは、不破雷蔵が2017年9月 9日 06:54に書いた記事です。

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