いわゆる「3時間待ち3分診療」は医療の門戸が広いことの結果なので、全体で見ると必ずしも悪いことではないんですよ。「3分で済む程度のもので受診できるが故に、3時間待つほど患者が多い」わけで。日本ではみんなが少しずつ損することで、広く医療が提供されてるんです。
— PKA (@PKAnzug) 2017年9月1日
「アメリカの(大金持ちだけ受けられる)最高の医療」と「イギリスの(最低限かつ待ち時間めちゃくちゃな)無料の医療」を、「海外の無料で最高の医療」という形に再編集して日本の医療を叩く「情報バラエティ番組」という地獄が数年前に流れたのをよく覚えている。
— PKA (@PKAnzug) 2017年8月31日
物事には色々な面があり、一面だけを見て判断をすると、全体像を、そして本質を見誤ることがある。例えばモノスゴイ美味しいラーメンがあったとして、その美味しさだけを評価するのはアリだけど、その価格が1杯数十万円もしたらどうだろうか。今件はそのような話。
日本の医療は多分に無茶をしており、そのひずみの一つに指摘されている「3時間待ち3分診療」ってのがある。お医者さんの数に対して患者数が多い、だから長時間待たされるけど、診療・診察そのものは数分で済んでしまう。患者側は時間の無駄だよね、という不平。でもよく考えてみると、確かに3分程度で済むものでも受診ができるからこそ、これだけ受診する人が多く、結果として待たされねばならなくなる。
「もっと医者を増やせばよいのでは」との指摘も間違ってはいない。でもそれだと社会に必要なコストがけた違いになる。極論としては一人一人全てに付き添いの医者を用意することになるからね。コストをかけずに医師を増やせとか馬鹿な話は無し。だれがそれに従事するのかな。
切り貼りをして違う界隈の話を羨ましがらせ、同時に他の属性をディスる。この類の話は、実のところ社会福祉や経済周り、そして行政関連ではよく行われる。
世の中の物事は多分に連動し合って存在している。税金をゼロにすれば生活は楽になるけれど、それでは国としての行政が維持できなくなる。その一遍だけを取り出して評価する、羨ましがる、持ち上げるのは構わないけど、それに連なる色々な作用も見極める必要がある。この類のトリックはよく行われるので、注意をする必要があるのは言うまでもない。ドイツのエネルギー政策とか、スウェーデンの年金制度とかが良い例かな。
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