ヤマト運輸が値上げをするのでネット通販が大変だとの話があるけど

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苦しくなるのは、他社との熾烈な価格競争で消耗しているEC事業者だ。東京に拠点を置くある物流の一括請負業者の元には、配送コストを少しでも抑えたい業者が駆け込んでくるという。同社社長は、「ヤマトの値上げ要請はとにかく強気だ。3~4割はざらで2倍を超えるところもある」と明かす。

ECサービスの拡大と利用者・利用数の累乗的な増加で、宅配業者がパンク状態となっているのはここ数年の話。各社とも環境の変化に合わせて体制を整えるため、そのリソースの確保というか、正当な対価としての価格引き上げを行っている。

当然利用する業者側としてはコストが引き上げられることになる。当方が使っている通販サイトでも、宅配便の料金引き上げで配送料を値上げするよ的な話があちこちで。ただそれって結局、これまでが安価過ぎたと見てもいいんだよね。安けりゃ安いにこしたことはないけど、それで配送業者側が倒れたり、質が悪化したのでは、自分で自分の首を絞めているのと同じ。植木には適切な水や肥料をあげないと枯れてしまうのだ。

今件記事でも「ヤマトの値上げは悪い、業者はかわいそうだ」的な論調になっているけど、なんか違うよなあ、という雰囲気は否めない。

今年7月に国土交通省から発表された「平成28年度 宅配便取扱実績について」によれば、2016年度の国内宅配便取扱個数は次の通り。


ヤマト運輸...18億6756万個
佐川急便...12億1821万個
日本郵便...6億3242万個
西濃運輸等...1億2956万個
福山運輸等...1億2044万個
その他16便...774万個
 計39億7780万個

全体では前年度比で+4.4%、ヤマト運輸は+7.9%と大幅に取扱数量が増加しています。便宜性や安定したサービスを受け、利用者が拡大しているのが実情です。

今後ECの利用はさらに増加する事は容易に想像できるため、ヤマト側では体制が整うまでの間は取扱総数を減らす戦略を発表しています(減らしたままではありません)。

ネット通販業者には経費の増加となりますが、環境の変化に伴うコストの増加であり、おかしな話ではありません。インフラは安かろう悪かろうでは困るのです。


と、いうわけで資料を引っ張り出してつっこみを入れたわけだけど。結局はコストが増えているのだから価格を上げるのは当然のお話。コストが増えるような環境になったので、それに対応したのはどこも悪くない。通販業者もそれに対応すればよいってこと。価格は商品の魅力の一つではあるけど、それのために他の必要不可欠な要素を削ったのでは、何の意味も無いのだよね。

特に宅配周りはインフラとなりつつあるのだから、安かろう悪かろうでは困る。必要なだけの価格引き上げは正当化されるべきだし、それを糾弾する論調には「ちょっと待った」をかける必要があるのだろうな。

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このページは、不破雷蔵が2017年10月12日 06:47に書いた記事です。

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