「文庫本が売れないのは図書館で借りるからだ。だから図書館は文庫本を貸し出すな」というご意見

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文庫本は同社の収益の30%強を占める最大の収益事業であり、「週刊文春」など雑誌も上回っているという。同社は、月平均で20点の単行本を発行しているが、黒字になるのはそのうち2~4点(10~20%)とごくわずか。最大の収益源である文庫本の売り上げ低迷は「版元にとって死活問題」であり、「作家にとってこの上なく深刻な事態」と訴える。

 その上で、公共図書館に対して「どうか文庫の貸し出しをやめてください」と懇願。「それによって文庫の売り上げが大幅に回復するなどとは思っていない」が、「図書館では文庫は扱っていない、それなら本屋で買うしかない,文庫くらいは自分で買おう。そんな空気が醸成されていくことが何より重要」だと訴えている。


先日から図書館周りの話が急に騒がしくなり、ちょいと漁ってみたら文芸春秋の社長が「文庫本が売れなくなってる、図書館で貸し出しているからだ、だから図書館では貸さないで&借りてる人は自分で買って」なる話を公知したとのこと。第一報ではそういう話をするかもというレベルだったけど、発表予定稿が公開されていたので確定、と。

同じ分科会の資料では「んなこたぁない」というツッコミ的な報告もなされているけど、文庫本を取り扱う会社のトップが堂々とこんな話を公言するのは、色々な意味で危機的状況では無いのかな、と。その会社にとって。居酒屋での酒飲んで酔っ払いながらの戯言ではなく、公知文書として出された上での発表となれば。エビデンスは無いけど自分達の商売がアレなのはお前が悪いから、お前はそれを止めろと会社のトップが堂々と語るのは、最悪の状況ではある。


まぁ色々とツイートしたりされているものをまとめてみたけど、大体こんな感じ。図書館が原因の文庫購入離れもわずかにはあるかもしれないけど、それを立証するものは無し。むしろ図書館の数や利用者数はずっと前から漸増しているのに、明らかに文庫本の販売が下落を示したのが2013年から2014年以降ってことは(ちなみに手元にある2016年分までのデータでは、この傾向は直近まで続いている)、むしろスマートフォンの普及浸透や個人営業タイプの本屋さんの閉店、さらには高齢化の影響(とりわけ団塊世代の定年退職)が大きいのではないかな? 

それを、目に留まりやすいからといって図書館に石つぶてをなげるのは、どうかと思うのだけど......企業のトップが、ねえ。


無料ウェブ漫画の話も出てきたけど、もとより図書館で文庫本の閲読を済ませてしまうロイヤリティの層が、果たして元々購入してまで文庫本を読みたいそうであったのか否か。また、文庫本の売れ行きが減っている云々に、電子書籍のデータは含まれているのか。その辺りも合わせ色々と考えてもらう必要はありそうだ。

それが出来なきゃ、出版社のトップとしては恥ずかしい限りだとは思うのだけどね。お得意の「文春砲」で追及してみてはどうかしら。

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このページは、不破雷蔵が2017年10月13日 07:50に書いた記事です。

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