中堅と呼べるレベルの実績や実力のある作家さんが、月刊連載1本だけではもはや食えない(赤字)状況にマンガ業界もなってきております。
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
原因は大きく分けて3つ
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
①出版不況で単行本が売れない
②原稿料が何十年も据え置きで上がっていない
③作画コストは上がる一方
出版不況で青色吐息の出版社はベースアップどころか、カットできるコストはないか常に探している状況です。売れそうなもの以外は広告宣伝費もつけてはくれません。
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
そのくせ作家さんにはSNSを使って自著やイベントごとの宣伝をしてくださいとあたりまえのように言ってきます。
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
以前にも何度か「新刊発売時の本屋さんでのイベントや記念色紙、特典イラストの類は作者の持ち出し」「新刊の宣伝は筆者自身がやるべし」などといった、本来編集の仕事であったり対価が発生すべきあれこれに対し、筆者側の負担が増えているよね、ネット時代でその辺りは楽になるはずなのに、むしろ逆に負担が増えているのは何でだろうという話をしたけれど。業界側がアップアップをしているから、筆者側にアウトソージングしているってのが正解というお話。でもそれでいいのかなあ、という指摘も合わせ。
「それって絶対おかしいよ」と魔法少女ばりのセリフが出てしまう。というか、これもまた別所で言及したけど、新人を育てたり仕事をしている人がちゃんとした生活ができるような対価を支払わない企業は、自身の存在意義が無いと主張しているのとあまり変わらないし、業界そのものをたこ足のように食っているだけなんだよね。副業するな、でも副業しないと食っていけないような微々たる対価しか払わんっていう矛盾するお話とあまり変わらない。
雑誌はもはや死に体で、作家や作品の宣伝力などありません。大多数の作家を連載1本で食わすこともできません。そのくせ作画に対する要求は上がる一方で、昨今はさらに宣伝営業もせよと言ってきます。商業出版て何でしょうね。
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
人気や実力のある作家さんは、同人活動やインターネットの作家支援サービスを活用した方がずっと稼げる状況になっています。コストパフォーマンスが悪いので、商業の依頼は受けないという作家さんも年々増えてきています。
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
フリーランスとはいえ私も編集者ですので、出版業界の台所事情は重々承知しているつもりです。それでも、不況を言い訳にして作家の待遇をかえりみようともしない今の状況は、緩慢な自殺にしか見えません。
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
作家に宣伝をさせるなら宣伝費を払うべきでは? 作家個人の人気にあやかって仕事をするなら、お仕着せの条件ではなく印税も原稿料も個別に話し合って契約すべきでは? コンペをするなら、成否を問わずプレゼン資料作成にかかった手間に応じた代金を支払うべきでは? 改めるべきことは無数にあります
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
一部の人気作品を除いて、商業出版にはもはやかつてのような力もステータスもありません。商業出版は作家にどのようなメリットを提供できるのか。ここのところを再定義できない出版社に未来はないと思います。
— 荻野謙太郎(マンガ編集者) (@gouranga_) 2017年10月19日
出版業界の台所事情も認識しているけど、多分に甘えとか割り切りの無さとか市場調査不足とかって部分を、単純に少子化とかネットとかのせいにしているところが大きい気がする。環境が変化したらそれに対応する進化をしなきゃ生き残れないのは、生命体の大原則。
「同人活動やインターネットの作家支援サービスを活用した方がずっと稼げる状況になっています。コストパフォーマンスが悪いので、商業の依頼は受けないという作家さんも年々増えてきています」という話も、驚きを持って目にしたけど、それが事実であるのなら受け入れるしかない。出版業界側がそれはイヤだというのなら、相応の対価を支払うしか手は無い。さらにいえば「雑誌に載せるのだからそれがモノスゴイパワーになるから、それが超対価だ」という認識をしているのなら、「うちのサイトに載れば箔がつくから原稿料は無し」「テレビに出れば有名になれるからタダで商品寄越せ」というヤクザまがいのお話とどこが違うのだろうか。
この類の話は往々にして、少しずつ、でも確実にむしばんでいくタイプの病だったりする。早期発見ができてもそれを認識せずに目をふさぎ、体の良い敵を掲げて大騒ぎし、自分達は悪くないとしてこれまでの体系を頑なに維持し続ける。その方が楽だし、心配もいらないからね。先日の某社の「図書館が悪い」もよい例じゃないかな。
情報のアップデートは大切だし、その新しい情報に基づいた環境のカスタマイズも大切なのだよね。
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