ヤマトが値上げでゆうパックや他の宅配業者が大変だとの話

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「ゴルフバッグの送料は往復で820円上がった。嫁に怒られる」。ヤマト運輸や佐川急便が10~11月に相次ぎ実施した宅配便値上げが家計を直撃している。その分、来年3月まで料金をすえ置いている日本郵便「ゆうパック」に日本中の荷物がシフトしている。だが日本郵便も喜んではいられない。

ちょいと誤解があるようなので最初に注釈しておくと、【ゆうパックのサービス改善と運賃改定等のお知らせ】にもある通りゆうぱっくもヤマトや佐川同様に値上げを行う予定ではある。ただ、そのタイミングが他社より多少遅れて、来年の3月1日からなので、今年の年末ラッシュでは比較論として安いサービスになっているまでの話。個人的には指摘の通り、ヤマトなどと同じ時期に値上げすれば良かったのだろうけど......許可申請の問題かなあ。

今件記事の引用部分とか、他の類似記事を見ても、多くが「値上げされたので困る」「家計を直撃、大変」とあるけど、元々コスト的に危うい状態になっていたのを適正化するための値上げ、いや適正化に過ぎないのだから、値上げは一律悪だ的な表現をして暗に叩くのはどうなんだろう。その方が記事としてはウケが得やすい、反撃してこないサンドバックほどありがたいものはないってのは分からないでもないけど。


で、経済の原則としての需要と供給の関係に素直に従わずに、指摘の通り「社会現象という言い訳」で、無茶な低コストでサービスを提供し続けてきたツケ......というか、そこからの脱却の際に生じる混乱が現状ではある。刺さったとげを抜くときの痛み、的な。

似たような「顧客が逃げない分野で需給や周辺環境に連動対応する形で適正価格にする」ってのは、物流以外でも例えば医療福祉サービスも該当する。人助けのため、利用する人が多いから、値上げをすると使えない人が出てくるかもしれないからということで無理な低価格を維持していると、その維持に携わる人が手を挙げてしまう。ブラック企業の後押し的な状態になる。どうしても価格を抑えておく必要があるものは、それこそ社会全体で負担をする、公的化するしかない。

この辺りの線引きが結構あいまいで、さらにモラルハラスメント的な理由づけでサービス提供側を正義の鞭としてぶん殴る界隈があるので始末が悪い。今件の最初の引用記事でも、「家計を直撃」とかいった表現で、あたかも値上げが悪で、庶民は困っている的な表現だからねえ。


ちなみにヤマトの場合、以前取り上げた記憶があるのだけど、今回の値上げで一時的な取扱量が減ることは承知の上となっている。「総量コントロール」という言い回しを使っているほど。上手く行くか否かはまた別の問題だけど、少なくともそういう思惑もある上で、値上げをしているということは覚えておこう。

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このページは、不破雷蔵が2017年12月12日 07:32に書いた記事です。

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