コストカッターの行く末は無能な人

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デフレ時代に流行った言葉の一つ、コストカッター。言葉通り、費用経費を削る所業を意味し、それを成す人を指した場合もある。漫画や小説、物語やテレビドラマのネタとして使われることもしばしばあったし、お金の勘定の上では一時的に改善するように見えたから、持てはやされたものだ。リストラもコストカッターのやったことの一つ、となるのだろうな。目的は人件費の削減なんだから。

ただこれって手術で例えると、臓器の全摘出を意味する。機能が多分に残されているのに、ここら辺が危うそうだからと全摘出すると、その症状は解消されるけど、その後において頭を抱えることになる。コストカッターによってコストを取り除いた結果、それが良しとされてしまい、コストをかけることが悪と判断される。誰もそれをしなくなるから、コストをかけること自体ができなくなる。

そもそもおかしいとは思わないかな。コストってのは、行動の際には必要不可欠なリソースであり、それをカットするということは、行動そのものが制約されるのに他ならない。カレーライスを作るのにカレールーをカットしたり、ご飯を用意しないようなもの。

まぁ、コストカッターが賛美されたのは、昨今の日本に浸透している、お金を卑下する精神が関わっているのだろうなあとは個人的な感想。卑下するものはできるだけなくした方が善である。つまりコストカッターも善である、と。カットすべきはコストではなくユースレス(本当の意味での無駄。保険的なものは意味しない)なのに。


これって先日【「耳が遠くなる」は2つのプロセスの断絶によるもの】で言及した、耳とか補聴器と脳の関係の話と同じじゃないかな、と。耳が遠くなった時に随時補聴器で耳の役割を代替させないと、耳から入った情報の処理をする脳の部分が退化してしまい、その時になってから補聴器をつけても音の認識がし難くなってしまうというもの。

......となると、今本当にコストカッターの対象となるべきなのは、かつてコストカッターを振り回して、お金の使い方を忘れてしまった人たちじゃないのかな。切った側が今度はその所業のせいで切られる側に回る。何とも皮肉だが、否定はできまい。

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このページは、不破雷蔵が2017年12月17日 06:58に書いた記事です。

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