ウェブ漫画と原稿料の件

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雑誌への掲載、連載が半ばお試し版的な存在で、面白かったら雑誌を買い続けて続きを読むのと共に、一度に読める単行本を買ってねというのが漫画のビジネスモデル。それが雑誌が売れなくなってきたことでお試し披露の場の効果が薄れると共に雑誌社の売上も減退してしまっているので......というかそうなった状況を作り出したともいえるのがウェブ上での漫画展開。雑誌の役割をウェブ漫画が代替している、いや、新たなステージとなりつつあるのかもしれない。紙の雑誌のようにウェブ雑誌そのもので売上を得るのは難しいけれど、お試し版としての効用は高いし、ヒット作となるか否か、単行本を作って売れるかどうかの判定はしやすい。

で、そのような状況下で色々と話が出ているうちの一つがこんなケース。ホント、雑誌社によりけりでこういう話ばかりではないはずなんだけど、少なからずってのがあるのだよね。昔ウェブサイトがホームページと言われていた時に、ホームページは見るのが簡単だから作るのも簡単、だからぱぱぱっと作っちゃってよ、暇な時にタダで、あるいはお小遣い程度でって感覚が浸透していたけど、それと似たような雰囲気がある。

ウェブに掲載する方が、紙媒体での雑誌と比べると工程は少なくてコストもかからないかもしれない。けれど漫画そのものを作る側は紙媒体向けの作品と同じ手間暇がかかる。原案を考える労苦も同じなんだよね。で、ウェブだから原稿料はタダ、安価でというのは道理が通らない。

雑誌社側からすれば、社側のリソースが足りないので作家にもリスクを、との考えなのだろう。単行本に出来るものか否か、出して反応を見ないと分からないから。でもそれは紙媒体の雑誌と同じよね。百歩譲ってそれが通用するのは、作家側からお願いして掲載させてもらう場合限定のはず。編集部側から「描きませんか、でもあなたもリスクを」では筋が通らないと思うのは当方だけだろうか。

...まぁこの類の話は、最初に無理を通してルール化してしまえばこっちのものだ、的な思惑が多分にあるのだろうけど。企画を練ったり作成する側と、配信する側が別のビジネスでは良くある話。


漫画などのクリエイティブ系の作品にビジネスモデルという言葉を多用するのは色々と問題があるのかもしれないけど、霞を食べては生きていけないので、そろばん勘定をする必要はある。少なくとも昔とは随分と環境が変わっていて、新たな道を探さないと息ができなくなってしまう。ブログにしてもツイッターにしてもインスタグラムにしてもノートにしてもユーチューブにしても(全部カタカナだな、これ)、色々と自分をアピールする場を用意して、価値を見出してくれる人との接点を作るってのは重要な時代なのだな。

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このページは、不破雷蔵が2018年1月 4日 06:48に書いた記事です。

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