問い合わせがあったので補足。今朝の 紙媒体で出版市場は縮小。電子を合わせても縮小 https://t.co/lj206cXahB で引用元にあった海賊版の影響に触れたなかったのは意図的です。同人誌はともかく商業誌で海賊版が与えた実影響は未知数ですので。
— 不破雷蔵 (@Fuwarin) 2018年1月26日
先日の出版市場の2017年分の総括データとそれを伝えた報道内容に関する記事で、いくつか問い合わせやらツッコミやらがあったので補足。一部報道では海賊版(電子媒体)が暗躍したので出版市場はダイナミック縮小した的なことが書かれているけど、当方はそういう判断はしていないので、あえて記事では触れていなかったまでの話。
同人誌はともかくとして、商業誌で海賊版が出版市場に与えた影響って、実際にはどれだけあるのか、これはまさに未知数でしかない。以前の記事でも触れているけど、海賊版を展開したサイトへの賠償請求は、素直にダウンロード数×定価でかまわない。それが一番シンプルであるし、正当性もあるからだ。
ただ、実際の購入性向を考えると......というか自分がその立場になったと仮定して判断すると、ダウンロードをした人がそのまま、ダウンロードできなかったら該当書籍を購入したか否かは極めて微妙。例えるなら、バイキング料理で目が留まったから自分の皿に盛ったとか、デパートの食品コーナーで試食品があったのでつまんでみたとか、その程度の感覚でのダウンロードが多分にある。
また、そういう感覚すら無く、無料でのダウンロードが当たり前になっている、その想いでのダウンロードもあるのだろう。そういう人達がダウンロードができなくなった時、該当書籍の購入をしただろうか。別の無料のウェブマガジン(公式)とか、他の無料の時間つぶしにシフトするだけのような気がする。
そう、一部の収集家とか、どうしてもこの作品が欲しいけど、金銭的余裕が無いから無料でダウンロードしようと探して手に入れる人を除けば、たくさんある無料の時間つぶしの一つとして、海賊版を選んだのではないか、そういう気がする。残念ながらその類の統計データは取れないので、数字的裏付けができないのだけど。
つまりは元々ロイヤリティが極めて低い、あるいは存在しない層の利用が多分だからっことなんだね。そういう層が利用者の多分を占める海賊版が、出版市場を脅かしたとは考えにくいのだな。
そりゃ同人誌では少なからぬ影響もあろう。また、商業誌でも影響が皆無とは言い難い。ただ、短期的な反応と中長期的な反応とは分けて考えるべきだろうし、真面目に検証をする必要があるのではないだろうか。
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