紙版のコミックスの売上が急減しているということだけど

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先日第一報が流れた、出版月報速報による2017年の紙媒体や電子媒体におけるコミックスの市場動向。解説のお話があったので覚え書きも兼ねて。「廉価軽装版」ってのはコンビニなどで見かける、再構築されたわら半紙的な材質の紙による安い単行本。こちらが減っているのは、コンビニでの取り扱いが減っているのと、利用客の客層や利用性向の変化によるところが大きいだろうねえ。ぱっと見で面白いかもと思っても、手元のスマホで電子版を買えるのならそちらで調達しちゃう。


他方、紙媒体としてのコミックスがここ数年で急速にこけているのは、あくまでも相関関係の値でしか実証されていないし、因果関係を確定づけるのは不可能に近いのだけど、やはり競合ルートとしての電子版の急速な普及に伴うシフトが生じているのだろうなあと。これ、実のところはiTunesなどによる電子楽曲と同じ流れ。電子版だと蓄積性が多分に生じるので、新作が売れにくくなるって要素(先日触れた件)も同様。

他に、例の海賊版も併せ、売上が発生しない電子コミックが増えてきて、コミックを読みたいという需要が吸われているってのもあるのだろう。無料で閲覧できるコミックは山ほどある。なので、閲覧された、読まれて楽しまれたコミック数は数倍にも増えているかもしれない。その中には多分に、紙媒体や電子販売版のコミックへのアプローチを求めている、前提としているのもあるし、きっかけになっているのもある。


紙媒体のコミックスが売れなくなっているってのは、こういう原因もあるのだろう。書店の減少でウィンドウショッピングで「気付き」を得て買うって機会が無くなっている。コンビニでの「廉価軽装版」はそれをサポートする役割もあったのだろうけど、コンビニ側で立ち読み自身を嫌う傾向が強まり、これも難しいものに。

似たような認知をウェブ上で得られるのなら、その場ですぐに取得できる電子版を購入する人が増えるのも致し方ないのかな、と。

まぁ、出版社としてはコンテンツを売りたいのであって、媒体が紙だろうと電子だろうとかまわない。ただ、気付きを与え告知拠点となる書店を維持するためには、紙媒体が売れないと困る、と。しかしながら書店が減ってきてマスとしての影響力、効用が減退しているのは否めず、さらに電子の方が便利となれば、利用者はますます電子に流れていく。

紙媒体としてのコミックの減退は今後も続くだろうし、それが出版業界全体の衰退を意味するものでは無いってのも継続していくのだろう。電子版の展開を出版と表現してよいのかは賛否が分かれる所だろうけど。

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このページは、不破雷蔵が2018年3月 1日 07:56に書いた記事です。

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