税金や社会保険の負担は増えている、けれど...

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平成の約30年間で、一般的な働く世帯の税と社会保険料の負担が月に約3万4千円、率にして36%増えたことが分かった。この間物価は1割上がったが、消費に回した額は逆に約4千円減少。年金や医療などの負担で、働く世代の暮らしが先細った姿が浮き彫りになった。

【60年あまりにわたる収入と税金の変化をグラフ化してみる(家計調査報告(家計収支編))(最新)】など複数の記事で指摘している通り、人口構成比の変化や技術の進歩、社会環境の充実を受け、社会への負担の度合いも大きなものとなっている。さらに直接税は比率的に減っていたとしても、その分消費税のような間接税が消費分への圧力となっているので、それも負担になる。

それはそれで事実ではあるのだけど、今回の記事はまさに「朝日新聞ならではの内容だなあ」というので覚え書きとして。まず比較対象がバブル絶頂期となっているってこと。なぜわざわざそこと比べたのか。

社会保険の増大は人口構成比の高齢層の増加と、医療技術の進歩発展が原因。数字的な実情はヤフー個人ニュースの 60年あまりにわたる税金や社会保険料の負担の実情をさぐる news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20171214-00078996/ などで解説しています。


「働く人がいる2人以上の世帯」との前提ですが、ここ数年では特に定年退職した後の高齢者が嘱託やアルバイトなどで再就職する事例が増え、そのような低所得世帯も「働く世帯」に混ざってしまい、全体の値を押し下げている問題もあります。

なお後半部分の「国も借金が増えた」(国債は国全体の借金では無い)、「企業部門か持つ現金が増えた」(現金など流動性の高い資産の企業による確保は、銀行が本来の責務を果たさないのが主要因)の話は本旨とは関係が無いものであり、記者の思惑が透けて見えるのを指摘しておきます。


他にもツッコミどころは山ほどあるけど、30年の間には色々な周辺環境の変化があるので、単純に比較するのはリスクがあるよということとか、前半部分の数字の部分はともかく、後半部分はまったく関係の無い話を無理やり併せ掲載して、いかにも強い関連があるように読ませている。これって報道というより論説レベルの話であるし、論説だとしても及第点は与えられないよね、的な。

これこそが朝日クオリティなのだろうなあ、と。色々な意味で。

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このページは、不破雷蔵が2018年6月 4日 07:01に書いた記事です。

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