お金があると人は変わるという話を昨日稲見さんとした。稲見さんは慶応の最後のころは研究資金がうまく回ってなくて「僕はもうダメです。辞めます」とか言っていたんだけど、東大に移ってからはお金が回るようになってネガティブな事言わなくなった。
— Naotaka Fujii@ハコスコおじさん (@NaotakaFujii) 2018年6月9日
僕一人ならお金が無くてもジャンクとか買って慎ましく研究できるかなと思うのですが、予算連敗でスタッフ達も空気を読んで一人また一人と去っていくのが身を切られるように辛く情けなかったですね... https://t.co/tjGMBDoLmh
— 稲見昌彦 Masahiko Inami (@drinami) 2018年6月10日
「お金があると人は変わる」っていうと大抵は何らかの形で大枚をつかんだ人が荒くれたり本性をむき出しにして乱暴狼藉を働くようなことを指すのだけど、一方で適切なところに適切なお金が行きわたると、良い方向に舵が取られ、歩みが生じるようになる。
以前もどこかで言及した気もするのだけど、お金ってのはリソースであり血液でありエネルギー。それが不足していたのでは十分な能力発揮はできないし、生命活動そのものの危機である事を強く自認して生き続けることを優先順位の最上位に上げてしまうので、本来の能力への注力が軽んじられてしまう。
こんな辛い思いをするならいっそのことアカデミアを去ろうと決意しかけたときに「稲見さんを評価している人たちもいるから」と励まして頂いたのが、今の同僚の篠田裕之先生だったんですよね。その後しばらくして現職にお誘いいただきました
— 稲見昌彦 Masahiko Inami (@drinami) 2018年6月10日
大学だけじゃなくて企業もそうなんだけど、雇用が絡むと色々厳しいよね。五十嵐ERATOでも最後は不安だったけど、稲見ERATOも今から5年後のことを考えないといけない。あと、慶大だから予算が当たらなかったわけではなく、起業との共同研究も含め純粋に僕個人の力不足でした
— 稲見昌彦 Masahiko Inami (@drinami) 2018年6月10日
お金に雇用、つまり他の人の人生、生活が絡んでくるとプレッシャーは余計に強くなる。お金はとても大切なものに違いは無いのだけど、それを稼ぐ能力、方向性とその人が持っている能力や可能性とはベクトルが一致しているとは限らない。それを見出して上手く紐づけしたり、後押ししてくれる存在があればいいのだけど、世の中すべてそううまくいくとは限らない。
藤堂くんも、基本ネガティブなポーズを取ることが今まで多かったんだけど、SEERに対してのみんなのサポートで当座のお金の心配が無くなって、周りの誰かが自分の邪魔をしているみたいなひねくれたことを言わなくなって制作のことしか話さない。
— Naotaka Fujii@ハコスコおじさん (@NaotakaFujii) 2018年6月9日
お金が無くなると人は本当にネガティブな考えから脱却できなくなるし、その考えはその人の資質を殺す。お金なんてどうでもいいという人はいるし、逆にネガティブな環境ですごいものが生み出されることはあるけれど、基本的にお金の心配なんかしないほうが良い。
— Naotaka Fujii@ハコスコおじさん (@NaotakaFujii) 2018年6月9日
お金に余裕が出来ると、作るものの質が変わってくるのが面白い。例えば、稲見さんの本郷のラボと先端研のラボは、テイストは一緒なんだけれど予算のかけ方が違うので、非常に心地良いものになっている。ようやく稲見さんの遊び場が完成した感じ。
— Naotaka Fujii@ハコスコおじさん (@NaotakaFujii) 2018年6月9日
多分藤堂くんの作品も変わるだろうから楽しみだ。一方で、お金がいくらあっても何も変わらないひとの方が実は多くて、そういうヒトはどこにもいけないので無駄金になる。やはり、お金は新しいコトやモノを作るところに流れると面白いことになるので、大学という機能には価値はあると思うんだ。
— Naotaka Fujii@ハコスコおじさん (@NaotakaFujii) 2018年6月9日
これって例えば日常生活での呼吸と同じで、普段は自分の呼吸について認識することなど無いのだけど、病気か何かで息苦しさを覚えたり酸素が足りないところに追いやられると、その事ばかりに頭が回ってしまい、他の事をほとんど考えられなくなる。何しろその状態が続けば自分は命を落としてしまうかもしれないから。お金についてそれを第一に考えなきゃならないってのは、そういう状態と同じでもあるのだな。
お金に余裕が無くなると当人の資質がダメにされてしまう。これってホントにその通りで(無論例外もある)、例の公開仕分け裁判もその愚挙の行き着く先なのだろう。また当方自身、今でも色々ともがいている感があったりする。
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