「ユーザーの声は聞くな、行動を見ろ」はデザイン過程における鉄則です。ユーザーの意見や要望をそのまま製品に反映することはデザインのインテグリティを下げる愚行です。ユーザーはデザイナーではないので、自身の仕事や生活の中で既存の道具がもたらしている意味性を言語化できないのです。
— Manabu Ueno (@manabuueno) 2018年8月1日
クレーマーは商品やサービスを改善するきっかけとなる神の声だ、的な話もよく聞くけれど、一方で利用者の意見に傾注ばかりしていたら、段々商品が劣化して利用者も少なくなり、結果として廃れてしまったなんて話も多々耳にする。結局は多分に環境などによるケースバイケースではあるのだけど、原則として利用者の意見は耳を傾けることはあっても、そのままうのみにするなというのが事実ではあるのかなという気がする。
その理由としてずばり的な解説が、今件の引用の解説。利用者はプロではないから、そのプロの観点での分析をせずに、思い付きで感想を述べてくる。頭の中のイメージが上手く言語化できていない可能性も高い。
無論利用者における感想そのものは欠かせない。中にはシンプルに、作り手側に気付きを与えてくれるものもあるだろう。それにしてもプロの視点による精査は必要。なので、言語そのものを受け取るのではなく、行動を見て、プロ自身が言語化する必要が出てくる。例えば通販サイトでの問題の場合、利用者のクレームをそのまま見聞きするよりも、アクセス解析などをしてその動向を分析した方が、より正しい改善策にたどり着けるという話。まぁ、利用者の声を精査するプロがいれば、声そのものも有益な材料にはなるけれど。
とはいえ、https://t.co/hjw64HxQsJ 式デザイン思考のステップを実践して本当に意味のある結果(他のデザインプロセスでは得られなかったであろう有意義なアウトカム)を出すのは簡単なことではありません。そもそもユーザーには何も特別なニーズが無いかもしれないからです。
— Manabu Ueno (@manabuueno) 2018年8月1日
ユーザーの観察をしても必ずしも特筆すべき発見があるとは限りません。サービスの企画者は、ユーザーは何かを求めているはずだという根拠のない前提に立って要件定義をしようとしますが、多くの場合、何かを求めているのはユーザーではなく、企画者本人なのです(収益、評判、実績など)。
— Manabu Ueno (@manabuueno) 2018年8月1日
利用者はシステム整合性の観点から要求を言語化できないという一般論です。そのため意見をそのまま受け取るのではなく、その背景にある本質的な要求をユーザー行動から推察しましょうという意味です。
— Manabu Ueno (@manabuueno) 2018年8月1日
ここで重要なのは、「利用者が何かを求めているはずだ」という前提そのものか間違っている可能性。いわば減点方式で荒を見つけるのが絶対条件となっているというもの。......ああ、ウェブサービスで「そういうことはしなくていいのに、何で改悪するの」ってバージョンアップが行われる理由の一つは、ここにあるのか(まぁ、別の意図を隠すためにやってしまうこともあるけど。利便性を意図的に低めて、有料版への誘導を促すとかね)。
あとは...そうだな。利用者のご意見とあるけど、意見を出さずに満足している人がどれだけいるのかも知っておく必要はあるかな。1の不満を解消させるために、99の人のストレスを高めたのでは意味は無いからね。
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