出版不況はインターネット、特にスマホの普及で情報取得の選択肢が増えたことに加え、情報の質の次元的な変化で出版媒体の本質が容易に検証され取捨選択されやすくなったこと、そして出版メディアを好む世代が高齢化して読み難くなったなどの複合要因によるもの。中の人の質の劣化(の暴露)も要因。
— 不破雷蔵 (@Fuwarin) 2018年9月25日
あくまでも一側面ということであり、これのみが絶対真実で他の可能性はまったく無いというわけでは無いけど。この考え方はあながち的外れでは無いと思う。実のところ出版不況はここ数年の間に生じたのではなく加速しただけの話であり、どの辺りから不況っぽいのが生じてきたかなと色々な数字をひっくり返すと、大体前世紀終わりごろからだったりする。書籍に限ればそれ以前に一度あったけど、その時は文庫本シフトが要因だった(【新刊書籍・雑誌出版点数や返本率推移をグラフ化してみる】)。要は周辺環境の変化で、これまでの体制では売上が落ちて来るなあという状況になった時、出版不況ガーと大騒ぎするという構造なわけだ。
で、昨今の加速化している出版不況に関しては、前世紀からの流れはポケベルとか従来型携帯電話の浸透開始が影響しているのかな、というのが個人的所感。そしてここ数年の加速感は当然、スマートフォンやインターネット。その辺りをどうにか体現化したのが上の引用部分。色々な要素が並列的に生じて、加速感を与えた、と。
結局、新聞や雑誌、書籍などの紙媒体も結局、情報を取得する・保全するためのツールの一つにしかすぎないんだよね。その概念に気が付けば、色々と理解できる。今件の出版不況の理由もそれ。新しいものが出来れは、そちらに流れるってパターンもある。一つ一つの選択者数は減る。市場規模全体が広がる場合もあるけど、供給側が1+1=2となったとしても、需要側が同じく1+1=2になるわけじゃない。毎日3杯ご飯を食べていた人が、1日6杯出されたとしても、6杯全部食べられるわけじゃないってこと。
で、この話から派生して、「概念」ってものの大切さを覚え書きとして。概念ってのは理解のための土台のようなものなので、概念を会得していないといくら情報を得ても、学んでも身にはつかない。キーボードの使い方とか従来型携帯電話での文字打ちの方法とか、そもそもインターネットでの情報のやり取りについて、どのような仕組みになっていて構造はどんな感じなのか、概念的なものを会得していてもいないと、それぞれの操作を教えられたところで覚えるのは難しい。プログラムを組む上でのフロチャートが良い例で、あれは物事の流れを図式化して、見やすくできるのだってことを仕組み的に理解していないと、読んでも何だか分からないし、自分で書くことなどできるはずも無い。
この概念を会得するために必要なのが、基本的な教育だったりするのだな。チートをしたりショートカットでできるとか、テンプレでこなしてしまえばいいじゃんってことで、概念の会得を怠ると、土台が無いものだから応用は利かないし、何か新しいものに遭遇しても対応ができなくなってしまう、思慮の浅い存在となってしまいかねないわけだ。
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